インパール作戦で敗軍収容任務についた北原は、終戦後まもなく戦争犯罪に関する呼び出しを受ける。
捕虜の処刑と民間人に対する虐待容疑――。
現れた語学将校の英人大尉は、偽りを述べたら殺すと言い放ち、腹を探るような問いを続ける。
尋問を通して北原は、戦時中には分からなかった敵の事情を知り、友軍将兵の秘めたる心理を知り、やがて英人大尉がただの語学将校でないことを知る。
戦場の「真実」を炙り出してゆく傑作長編。