海難事故で行方不明となった主家の若旦那を捜し、全国を旅する新蔵は、長崎で唐船に救われた日本人の噂を耳にした。唐人の父親の見舞いに行くという少女とともに、新蔵は唐へと渡る決心をした。折しも唐では、阿片戦争が始まろうとしている波乱の時代だった……。長編時代小説。
冒険時代エンタメ
生まれる時代は、選べない。 だが、生き方は選べる!
行方を絶った北前船には若主人が乗っていた。日本全国を尋ねて歩き、破船の話をようやくつかんだ若者は、運命の細い糸を手繰りよせるように、アヘン戦争まっただ中の清国へと赴いた。
病父を訪ねた少女をかばいつつ、戦火の異国をゆく新蔵。探し求める若主人が、はたしてこの大陸にいるかどうかも確信はない。さらには「幇」同士の争いにも巻き込まれ、四面楚歌となった。頼れるのは、おのれの知恵と力と仕込み杖ただ一本のみ。