久々に国元から江戸入りした若殿の姿に、家臣の誰もが絶句した。若さまって――こんなに馬鹿だったっけ? かつての賢さはすっかり消え、毎晩のように大宴会、女と見ればすぐに手を出す。それもそのはずこの若殿、側近の裏切りに遭った”本物”の替え玉だったのだ。降って湧いた贅沢な身分に、ますます調子に乗るバカ殿。だが、意外な逆転劇が待ち構えていた! 愉快痛快な表題作を含む傑作短編集。