専業主婦の榎本佐和子は、あるとき、フードコーディネータの友人からバイトを頼まれる。小遣い稼ぎになればと迷うことなく応じるが、手伝いを続けるうちに出版社の編集者から声をかけられ、読者代表として料理雑誌に出ることに。これをきっかけに、佐和子は人気料理研究家としてデビュー。実力がないまま担ぎ上げられ有名になるが――。佐和子の家族、友人、隣人たちはいきなり有名人となった彼女の存在に心をざわつかせる。妬み、憐み、あこがれ。女の微妙な気持ちが交差する連作短編集。
(ブックレビュー:小説推理2017年12月号掲載)