軍隊では最下層の足軽を主人公にした戦国時代小説「三河雑兵心得」シリーズが売れている。第5巻『砦番仁義』発売時には、Amazonの歴史・時代小説部門で既刊4冊を含めて1位~5位を独占し、話題となった。そしてこの度、最新6巻が9月、7巻が10月に発売される。2ヶ月連続刊行を記念して、シリーズの魅力を探ってみた。
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家康といえば「苦労人」。我慢と忍耐を重ねて最後に天下をとったことはつとに知られています。では、その覇業の陰でもっともっと苦労したのは誰でしょうか。筆頭家老の酒井忠次? 不肖の跡継ぎ徳川秀忠? いいえ、違います。答えは、彼らの下で戦場を駆けずり回った足軽たちです。
主人公の茂兵衛は17歳。喧嘩の弾みで人を死なせ、村を出奔したところを松平家康の家来である夏目次郎左衛門(夏目漱石の祖先!)に拾われます。折しも三河では家康と一向宗が対立、本来なら鉄の結束を誇る家康家臣団にも一揆側に走る者が相次ぐなど家中は大いに揺れていました。そして、熱心な一向宗門徒である次郎左衛門もその一人で、茂兵衛はなんと足軽稼業ののっけから国守に弓を引く謀反人となってしまう――という波乱の幕開けだった「三河雑兵心得」シリーズの最新6巻7巻が、9月10月と2ヶ月連続刊行されます。
三河雑兵心得 鉄砲大将仁義
井原忠政:著
9月9日に刊行される6巻『鉄砲大将仁義』は、4年に及ぶ国境の砦番を解かれ、浜松城に茂兵衛が呼び戻されたところから幕が上がります。鉄砲も護衛の槍足軽も加増され、押しも押されもせぬ足軽大将となったが、出世を喜んでばかりもいられません。吝嗇な主・家康は使える者はとことんこき使う。なんと茂兵衛は、内応を密約した武田の重鎮・穴山梅雪の妻子を救出するため、敵国甲斐に潜入することに……。孤立無援、衆寡敵せずのこの難局を茂兵衛はどう切り抜けるのか?
軍隊では最下層の足軽からの視点が珍しい本シリーズ。汗だく血だらけ泥まみれになりながらも、しぶとく生き残る茂兵衛の奮闘ぶりに、「平社員的には身につまされる」「日本版キングダムを目指してほしい」「酒を飲みながら読むのに最高!」など多くの声が寄せられています。波乱万丈、共感必至の戦国足軽出世物語をぜひお楽しみください。
■「三河雑兵心得」シリーズ好評既刊!