『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』で作家デビューした森田碧さんは、これまで「余命」をテーマとした作品を数多く手がけてきた。このたび最新作『先に死ぬ僕との6つの約束』を刊行する。「生と死」を描くうえで大切にしていることや、作品に込めたメッセージなど、創作の原点と素顔に迫った。

 

 

身近な人の死や、自身が過去に死にかけた経験も

 

──死をテーマとする作品を書くにあたって、森田さんの死生観に影響与えた方はいらっしゃいますか? 

 

森田碧(以下=森田):特定の誰かから影響を受けたということはありません。ただ、身近な人の死や、僕自身が過去に死にかけた経験があり、そうした出来事が死というテーマを扱うことが多い理由の一つになっているのだと思います。特に自殺については個人的に思うことがあり、そこに至るまでの背景や、残された人たちの想いも含めて慎重に扱うようにしています。

 

──森田さんの代表作である「よめぼく」シリーズではタイトルに「余命」という言葉が必ず入っています。「余命作品」を書くようになったきっかけ、また「余命作品」を描くうえで大切にしていることなどありますでしょうか。

 

森田:きっかけは、デビュー作である『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』がヒットしたことです。そこから「次も余命ものでいきましょう」と言っていただき、シリーズとして続けることになりました。ただ、いわゆる「余命もの」と呼べるのはデビュー作くらいで、タイトルに「余命」とついていても、内容はかなり違うものが多いです。

 

余命作品を書くうえで大切にしていることは、作品ごとに違います。作品によって描きたいテーマや登場人物も違うので、その物語に合ったものを大切に書くようにしています。

 

──執筆にあたり、影響を受けた作家や作品はありますか。

 

森田:特定の作家や作品から直接的に影響を受けたということはありません。好きな作家はそれなりにいますが、どちらかというと小説より映画が好きで、映画から影響を受けている部分のほうが多いかもしれません。特に、物語の構成や演出などは映画を観ていて参考にすることがあります。

 

──「森田碧」というお名前はペンネームですか? どんな意図を込めたお名前でしょうか。

 

森田:マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)が好きだったこともあり、デビュー前は「JO太郎」というペンネームで活動していました。デビューすることになった際、出版社さんからこれを機に新しいペンネームを考えてみるのはどうかとお話をいただきました。なかなか決まらずにいたとき、ちょうどその頃に書いていた小説の主人公が「森田碧」という中性的な名前で、その名前を気に入っていたこともあり、そこから拝借しました。

 

ただ、名字はかなり一般的ですし、最近の赤ちゃんの名前ランキングでは上位になっている名前なので、これから同姓同名の方がどんどん増えていくんじゃないかと少し心配しています。

 

──森田さんの普段の執筆についてお聞きします。一日のうち何時ごろ執筆していますか。アイデアが詰まった時に欠かせないものや、ルーティンなどがあれば教えてください。

 

森田:執筆は早朝と夜にすることが多いです。特に朝が一番捗ります。アイデアが詰まったときは、いったん原稿から離れて散歩をしたり、映画を観たりします。また、一作を書き終えたあとは近場でも遠方でも、息抜きに旅行へ行くこともあります。今回は原稿を送ったあと、血迷ってエジプトへ行きました。決まったルーティンは特にありませんが、執筆中はノンカフェインのブラックコーヒーをよく飲んでいます。

 

──本作には野球の描写などありますが、森田さんは野球経験者ですか? また学生時代の部活の思い出などありますでしょうか。

 

森田:野球は好きですが、学生時代は小・中・高とずっとサッカー部でした。僕自身も怪我をして大事な試合に出られず、悔しい思いをした経験があるので、怪我をした蓮がもう一度野球をしたいと願う気持ちはよくわかります。

 

部活の思い出でいうと、中学のサッカー部では毎日五キロ走っていたんですが、顧問の先生の授業で教科書やノートを忘れると、一つにつき五キロ追加されるという謎ルールがありました。僕はよく忘れ物をしていたので、ひどいときは十五キロ走ることもありました。今思えばなかなかすごいルールですが、当時は何の疑問も持たずに走っていましたね。

 

──本作では代償の代わりに願いが叶う神社が登場しますが、願いがかなうジンクス、おまじないなどで一番信じているものはなんでしょう?

 

森田:基本的にジンクスやおまじないはあまり気にしないタイプです。でも、四つ葉のクローバーを見つけると嬉しくなりますし、神社でお守りを買うこともあります。星座占いも都合のいいときだけ信じるようにしているので、まったく気にしないわけでもないのかもしれません。

 

──イラストレーターのitoさんが手掛けられた装画を最初にご覧になったときの印象や、物語の世界観との親和性について感想をお聞かせください。

 

森田:最初に拝見したときは、これまでの自分の作品にはなかった雰囲気のイラストで、いいなと思いました。不穏さを感じさせるタイトルと、柔らかい雰囲気のイラストとのギャップも印象的でしたし、蓮と美鈴の儚げな眼差しも、とても作品に合っていると感じました。二人の表情から、それぞれの抱えているものまで感じ取っていただけたように思います。

 

──作家・森田碧として今後、書きたいテーマはありますか?

 

森田:明確に決まっているテーマはまだありませんが、書いてみたいジャンルはいくつかあります。これまでは青春恋愛ものが中心でしたが、サスペンスやヒューマンドラマなど、あまり書いてこなかったジャンルにも興味があります。児童書やヤングアダルトにも挑戦してみたいですし、猫が好きなので、猫が登場する物語もいつか書いてみたいと思っています。青春恋愛ものも、変わらず書き続けていきたいです。

 

〈後編〉に続きます。