小国を守るため、三つの大国へと嫁いだ三人の姉と、故郷の女王となった末妹。かつて母国を共に守ると誓った四姉妹は、やがてそれぞれの国の威信と理想を背負い、敵として相まみえることになる──。

 

 後世、「動乱の時代を招いた悪女たち」として忌み嫌われた四姉妹の間に、いったい何があったのか。愛と憎しみ、策略と野望が入り乱れる異世界戦記「連天乱世の四姉妹」シリーズ激動の第1巻と、戦いから3年後を描く第2巻の読みどころを、書評家・細谷正充さんのレビューでご紹介する。

 

連天乱世の四姉妹 2

 

■『連天乱世の四姉妹 2』瀬那和章/ 細谷正充[評]

 

 動乱の時代を招いたといわれる四姉妹。その真実が明かされる。興奮必至の異世界戦記だ。

 

 本シリーズの第一巻の帯に、「血塗られた若草物語、第1弾」と書いてある。いったいどんな話かと興味を惹かれて手に取ったら、血塗れの異世界戦記だった。

 鯨のような形をした波多留国は、小さな島国である。周囲を、袁璃帝国・パシルレーン帝国・ウルグ帝国という三つの大国に囲まれる場所に位置し、それぞれの国とは橋で繋がっている。各帝国が互いに牽制し合っているので独立を保っているが、どこか一国でも正面から攻めてくれば、簡単に負けるだろう。

 

 これを憂いた波多留国の王の海燕は、病弱な末娘の白漣を残し、長女から三女までを、それぞれの国に嫁がせた。それから二年。海燕は没し、白漣が新たな王となる。いつもオドオドした白漣の態度は擬態。四姉妹はそれぞれ特別な能力があり、白漣のものは自分の中に他者の人格を作り上げることで、相手の心理や行動を高確率で予測できる『人格内包』であった。それを使い、人心を掌握した彼女は、亡き父の想いを受け継ぎ、波多留国の独立を守ろうとする。

 

 という設定をベースにして、四つの国の動乱の時代が描かれていく。白漣に目指すべき理想があれば、他の三人の姉妹や、彼女たちが嫁いだ皇太子・皇帝・将軍にも、別々の夢や野望がある。シリーズ第二弾で白漣は、えげつない策を弄して三国を動かすが、ある人物の予想外の動きにより、目論見が大幅に狂ってしまう。また、四姉妹の関係も、どんどん悪化。特に長女は第一巻の件もあり、白漣を憎悪している。一方の白漣は、姉たちを愛しているようだが、その言動を見ると、かなり歪んでいる。四国の動乱は、次巻から本番のようなので、白漣たちの愛憎の行き着く先を、最後まで見届けたい。

 

 なお本シリーズは、かつて白漣の従者だった星羅が、若い女性の歴史家に、悪女といわれている四姉妹の真実を語るというスタイルで進行している。ここにも何やら、仕掛けがありそう。読み始めたら止め時が分からない、面白い作品なのである。