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アナウンサーをあきらめて……

 

 アナウンサーになりたい気持ちは、小学校の高学年くらいからあったんですけど、いろいろ挫折といいますか、回り道をしていまして。大学に入ったとき、東京への憧れみたいなものもありましたし、まず、大学で一番大きな「放送研究会」っていうサークルに入ったんですよ。

 そのサークルはテレビ局みたいなもので、いろんな部署があって、その中に「アナウンス部」があったんです。アナウンサーを志している学生が入っているようなサークルなんですけど、例に漏れず私もそこに入り、実際にアナウンサーがやるような発声練習をやってみるんだけれども、あんまり楽しめず。これが正しいのかな? という確証も得られず。

 あと、フリートークの練習もするんですよ。急遽、出たお題に対して、自分で自由にしゃべるとか、そういう練習。それが本当にことごとくできなくて。入って半年ぐらい経ったときに、「私はアナウンサーに向いてないんだなぁ」と思って辞めちゃったんです。

 だから、大学時代は全然、違うことをやっていました。というのも、当時フリーペーパーが流行っていたので、フリーペーパーサークルの編集部員として、編集ソフトを使いながら、ちまちまフリーペーパーの紙面を作ることに時間を費やした大学時代だったんです。

 アナウンサーって仕事はなんとなく頭の片隅にありながらも、あんまりうまくしゃべれないし、向いてないんだろうなぁと思いつつ、周りのアナウンサーになりたい人はアナウンススクールに通い出していて、金銭的にも通う余裕がなかったし、環境的にも難しかったので、それで一回、アナウンサーはあきらめました。

 そして、大学3年生で就職活動が始まったとき、「海外行きたい!」って思ったんです。それまでも海外に行きたい思いはありつつ、まあいずれ……ってなあなあにしていたんだけれども、就活を実際に目の前にしてみると、「やっぱり行きたいな〜」「海外で暮らしてみたいな〜」って気持ちが強くなって、大学を一年間休学したんですよ。

 教授との面談で「なんで?」っていろいろ言われながらも、言い訳を並べてクリアして、実際に休学。半年間お金を稼いで、7ヶ月間海外に行って、海外でいろんな経験をして帰ってきて、っていう大学3年から4年でした。

 その後、休学から帰ってきたときに、大学4年生の年、もう一回、就活しなきゃいけないタイミングが来るわけじゃないですか。そのとき、アナウンサーになりたかった気持ちはずっとあったわけだし、やっぱり受けてみようと思って、キー局だけ受けたんです。そしたら、フジテレビに受かったっていう……。なんか今の話だけすると、すんごい嫌な感じですよね(笑)。アナウンサー、なりたかったんですよ! なりたかったけど、うーん、なんて言うのかな? ガチガチで目指していたっていう感じではなく。だから逆に、それがうちの会社では評価されたのかな?

 採用面接も受かると思って行ってないんで。だから格好も割と適当な、今思えばちぐはぐな格好をして行っていました。カメラテストなんかもあったけど、「どうせ、落ちて当たり前だし~」みたいに、ラフな感じでやってましたね。

 逆にそれが、「アナウンサーになりたいです!!」っていう人たちと比べると、新鮮に映ったのかな? って、今となっては思うんですけど……、鼻につきますよね? 分かる。めっちゃ鼻につく(笑)。

 分かっているから、今まであんまり話してきてないんですよ。でも今ね、一人でしゃべらなきゃいけない環境に立たされて、なんとかつないでいかなきゃいけないプレッシャーに負けて、本音をしゃべってしまっているっていう。これPodcastの怖いところ。何でもしゃべってしまう!

 

 

自由に話せる場所を求めて

 

 そんなこんなで、フジテレビでアナウンサーとして仕事をしているわけですけど、なぜこのPodcastを始めようと思ったかっていうお話をしたいと思います。

 入社して、ほぼずっと生放送の番組を担当させ続けてもらっていて。生放送ってもちろん時間も決まっているし、尺の中に収めていくっていう仕事なので、自分のトークで広がっていくことはあまりないんですよ。

 しかも、アナウンサーという仕事の性質上、客観的な情報をいかに分かりやすく伝えるかっていうことに注力するので、自分の感情をそこに介在させることがあまりないんですよ。

 ずっと生放送をやっている中で、自分が思っていることを言葉にすることが難しくなってるなって思ったんですよね。友達と会話していても、「あの子、しゃべってないから話振らなきゃ」「自分の話、面白くないかな?」「私が話しているときに、友達がスマホ見始めたな」「つまんなかったかな?」とか、いろんな情報が目に入るようになって、自分のしゃべっていることは価値がないかも……っていう後ろ向きな気持ちで、人と会話をする傾向に陥ってしまって。でも本来、自分が考えていることを人に伝えることって、すごく好きだったから、なんかこのままでいいのかなって少しずつ思い始めて。

 じゃあ、自分が自由に話せる、表現できるような場所を持った方がいいんじゃないかなって思ったんですよね。それで、Podcastをすごくたくさん聴いていたので、Podcastやってみたい! となり、いろいろな機会が重なって、今こうしてしゃべっているわけなんですよ。

 

 

アナウンサーってどんなイメージですか?

 

 皆さん、アナウンサーってどういうイメージがあります? その人のキャラクターって、あまり分からなくないですか? 特にニュース番組とか。

 バラエティ番組だと、個人のキャラクターを求められることもあるけれども、さまざまなニュースを扱う報道番組では、キャラクターを出すことを控えることもあって。……って考えると、アナウンサーの仕事ってすごく幅が広い。

 携わる番組によって真逆のことを求められる、なんか不思議な性質の仕事だなって思っているんですけど。そんなに深いこと考えながら、皆さんテレビ見てないですもんね。

 

 9年目って、普通の会社だと中堅ですか? まだまだ若手ですか? 若手から中堅になるぐらいだから、一通りの仕事はできて、そこに自分なりの価値をいかにプラスアルファしていけるかっていう年次になってくるわけじゃないですか。私の場合は、そつなくこなすことはできるけれども、プラスアルファで「それが宮司らしいよね」っていうことが、全然ないんじゃないかな? って思って、この1〜2年ぐらいは悩んでいたんですよ。

 でも、本当にこれは言っていることと矛盾しているんですけど、自分のことを表現したいとか言う割に、出過ぎてて「あの人、目立ちたがり屋だな」って思われるのも嫌だし……みたいな。面倒くさいですよね(笑)! だから、そこが結局やりたいけど、勇気が出ない。でも、やりたい! でも、嫌われたくない……。そこを行き来して。

 こうやってフリートークをしていると、どうやっても、しゃべり方にその人の人柄が出る。隠せないし、逃げられない。意図的にそういう場所に追い込んで、それで嫌われたら嫌われたでいいし、支持してくれる人が出てきたらいいなって思いもあります。支持してもらえるのであれば、支持してもらえたらいいしっていうことで、そこの土俵に一回、上がってみようかなって思ったんですよ。

 

 だから、もしかしたらここで、「あいつ性格悪いな」とか、「嫌な感じだな」って、これまで積み上げてきたイメージがあるとするならば、それが崩れちゃうかもしれないけれども、まあいいか、30過ぎたし。ちょっといったん、自分の本当のところをさらけ出して、それで勝負っていうか、自分のことをちょっと生きやすくしようかなと思いました。

 

 

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