10月24日、noteと物語投稿サイト・TALES(テイルズ)が共同主催する「創作大賞2025」の授賞式が行われた。

 双葉社文芸出版部賞に、エッセイ部門でタキアユミ氏、恋愛小説部門で粟森あわ もりヤス氏(受賞時はYASU名義)が選ばれ、登壇した。

 

「創作大賞」は、日本最大規模の投稿コンテスト。第4回となる今回は、過去最高となる69,808点もの応募作が寄せられ、計38メディアが参加し、かつてない注目を集めた。

 

 壇上にて、タキアユミ氏は二十代に作った「死ぬまでにやりたい100のこと」のなかに“本を出すこと”があったと語り、波乱万丈の人生を振り返りながら、喜びを表した。

 

 一方の粟森ヤス氏は、前年、エッセイ部門で同コンテストに入選し、「授賞式で多くのクリエイターと出会い、刺激を受けた」と、今回初めて小説の執筆に挑んだ経緯を語った。

 

昨年の受賞者・長瀬ほのか氏(中)とともに

 また、昨年、双葉社賞エッセイ部門を受賞した長瀬ほのか氏も受賞作「古生物学者の夫」を収録した単行本『わざわざ書くほどのことだ』が無事、刊行に至ることを報告し、他の受賞者たちの温かい拍手に包まれた。

 

 タキアユミ氏の受賞作「セブンイレブンに憧れた少女がアフリカでデザイナーになる話」は、震災を機にすべてを手放して世界を放浪し、ケニアでファッションブランドを立ち上げるまでの軌跡を綴ったエッセイである。

 異色の人生譚ではあるものの、言葉の一つひとつには普遍的な共感性が込められている。全身全霊で“自分という可能性”を問い続ける生き様が、現代社会で生きる人の希望になり得ると高く評価された。

 

 粟森ヤス氏の『パーティーはいつか終わる』は、四十代の男女が織りなす、地に足の着いた無垢な恋愛譚。

 実家の寺の跡継ぎ問題に悩む女性と、ミラーボール型のヘルメットを被る覆面DJの男性という、一見奇抜な人物像にも感じられるが、著者の絶妙なバランス感覚で、自然と感情移入させる物語となっている。

 愛らしい登場人物たちの友情と恋愛の行方に、多くの編集部員が心を動かされた。

 

 

受賞のことば
 パチンコ店員とホステスという二足の草鞋で切り開いた私の人生が、今度はファッションデザイナーとエッセイストという新しい二足で動き出そうとしている。
 40歳にして。いや、年齢なんて関係なくて、人生で最も若いこの瞬間をきっと全力で生きるだけだ。そうやってここではないどこかを、今日も追いかけながら。
 その行く末を、どうか見守っていただければ幸いです。
タキアユミ

 

受賞のことば
 2年前に母を亡くした時、これまでまともに文章を書いたことがない人間がなぜか「これは物語にしなくてはならない」と強く感じたのを覚えています。
 あの時から、物語を書くことは私にとって救済となりました。
 noteという土壌が無ければ文章を書く発想すらなかったと思います。そんな私が小説を書いて、あまつさえ賞までいただけたのは、書くことをnoteに教わり、そして何より皆様に読んでいただけたから。感謝申し上げます。
粟森ヤス

 

 

タキアユミ氏の受賞作「セブンイレブンに憧れた少女がアフリカでデザイナーになる話」は、WEB小説推理の無料会員登録でお読みいただけます。

https://reader.futabanet.jp/syousetusuiri/?cid=suiri2601_05_taki_seveneleven&u0=30

 

粟森ヤス氏の受賞作『パーティーはいつか終わる』の抄録をWEB小説推理の無料会員登録でお読みいただけます。

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