愛知・三重・岐阜の3県の書店員が“いちばん売りたい本”を選ぶ「日本ど真ん中書店大賞2025」で、森崎緩さんの『名古屋お疲れメシ通信』(双葉文庫)が特別賞を受賞した。今年はおよそ300人の投票によって受賞作が決まった。
9月3日に名古屋市のウインクあいちで開かれた授賞式で、森崎さんは「愛知県に二年間住んだことがあり、その時に出会った美味しい食べ物と、素敵な思い出を一冊の本にしようと、この作品を書きました。執筆前に中日新聞社さんに取材して、新聞記者のみなさんがどんな所でどんな風に仕事をしているのか見せていただきました。また本の刊行時には名古屋市内の書店を訪問し、パワフルな書店員のみなさまとお話ししたことで、元気をいただきました。2巻の構想も進んでいるので、また素敵な一冊を書けたらと思います」と喜びを語った。
『名古屋お疲れメシ通信』は、名古屋に本社を構える中京新聞社の生活部に配属された新人記者・仁木千春が主人公。元料理人という経歴を活かしつつ、小倉トーストやあんかけスパ、ひつまぶしといった「名古屋メシ」をテーマに記事を執筆する奮闘ぶりが描かれている。記者の仕事の厳しさや取材の駆け引きとともに、地元グルメの奥深さを伝える物語だ。
今年の大賞には坂本葵さんの『その本はまだルリユールされていない』(平凡社)が選出され、特別賞には森崎さんのほか、雨森たきびさんの「負けヒロインが多すぎる!」シリーズ(ガガガ文庫)も受賞。会場では約80社の出版社によるブース展示や交流イベントも行われ、活気に包まれた。