喫茶店で繰り広げられる謎をテーマにしたアンソロジー『ミステリなカフェ』。収録された5つの短編の魅力とともに、執筆陣が語るお気に入りの喫茶店もご紹介します。
1.「雪の糸」(大崎梢・著)
商店街の外れにある喫茶店「エルム」。朝9時に開店し、夜はバーとしても営業しているこの店を切り盛りする比呂美は、常連のカップルの別れ話を耳にする。会話の中で、時間にまつわる妙なズレに気づいてしまう。いったい誰が嘘をついているのだろうか?
■大崎梢さんがお気に入りの喫茶店
スターバックス コーヒー 鎌倉御成町店

普段から気楽にゆったりとくつろげる喫茶店です。開放的なテラス席も含め店内は広く、ビジュアル的にもとてもおしゃれ。そんな空間だからこそ、原稿を読んだり、何も考えずにリラックスしたりと、自分なりの時間を過ごしたりしています。
2.「エンジェル・ムーン」(加納朋子・著)
亡くなった妻の日記通りに、伯父は喫茶店「エンジェル・ムーン」をつくり上げた。店内には色とりどりの魚が泳ぐ水槽がいくつも置かれ、水族館のような幻想的な雰囲気が漂っている。そんなある日、亡き妻にそっくりな女性が現れたのだった……。
■加納朋子さんがお気に入りの喫茶店
御影ダンケ

実家近くにあった「ダンケ」(御影ダンケの分店だった当時のお店は閉店)は父のお気に入りで、よく一緒に通いました。お客さんに合わせて選ばれるアンティークカップが楽しみで、名物のバターブレンドコーヒーは、コクがあり香ばしくて、本当に美味しかったです。
3.「猫の世話をするだけの簡単な仕事」(坂井希久子・著)
里親募集中の猫たちに出会える「喫茶 虹猫」で、アルバイトを始めた獣医大学一年生の翔。店主から、近所の“猫屋敷”に住むお婆さんの家の掃除を頼まれ、通うにつれてその家にはなにか特別な事情があるのではと感じ始める。
■坂井希久子さんがお気に入りの喫茶店
長野の伊那市高遠にある「木のすず」

取材の合間に何度か立ち寄った思い出深いカフェです。大きな窓からは高遠の町並みと中央アルプスが望め、薪ストーブのぬくもりに癒されます。看板猫ちゃんたちが思い思いに寛ぐ店内でいただく焼き菓子は絶品です。
4. 「春の十字架」(東川篤哉・著)
鎌倉の路地裏にひっそりと佇む、古民家喫茶「一服堂」。店内に足を踏み入れれば、昭和初期にタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気。人見知りの店主は、喫茶店から一歩も出ることなく、持ち込まれる難事件を次々と解決している。ある日、店を訪れた週刊誌記者が相談したのは、親戚のお屋敷で起きた密室殺人だった。
5.「バレンタインの夜会」(望月麻衣・著)
京都・寺町三条商店街にある骨董品店『蔵』で、鑑定士見習いをしている京大院生・家頭清貴と、アルバイトの女子高生・真城葵。ミステリー作家が主催する朗読会に招かれた2人は、吉田山荘の敷地内に佇むカフェ「真古館」へ向かう。緑に包まれた洋館のような空間に、作家の友人、担当編集者、カメラマン、私立探偵らが集められ、衝撃的な告白を聞かされることに──。
人気作家たちが紡ぐ、個性豊かな5つの短編ミステリ。謎に満ちた物語を、ぜひコーヒー片手にゆったりと味わってみてください。