芥川賞作家、藤野千夜さんの『じい散歩』(双葉文庫)が第6回宮崎本大賞を受賞し、その授賞式が宮崎市内で4月22日に行われました。
 宮崎本大賞は宮崎県内の書店員や図書館員の方々がイチオシの一冊を投票で選ぶ賞で、毎年3月8日(みやの日)に発表されています。

 

 授賞式に藤野千夜さんはオンラインで参加。「池袋界隈の話ながら宮崎県の方に選んでいただき、今回の賞は励みになりました。宮崎は第二の故郷だと思っています。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べました。宮崎本実行委員会から藤野さんに表彰状が贈呈され、副賞としてみやざきブランド推進本部から宮崎特産の高級マンゴー「太陽のタマゴ」が贈られました。

 

(左から)宮崎本大賞実行委員長の寺田晃氏、JAみやざきの児玉昭人氏、双葉社営業部の牧山知生、同社文芸出版部の反町有里、オンライン参加の藤野千夜氏、宮崎県シンボルキャラクターのかぁくん

 

 また、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で現在は俳優として活躍されている咲妃みゆさんから、お祝いのコメントが届きました。咲妃さんは宮崎県高鍋町出身で、同町のふるさと応援大使を務めています。藤野さんは受賞発表時のコメントで、咲妃さんの大ファンであることを公言していました。

 

咲妃みゆさんのコメント
 この度は、宮崎本大賞のご受賞誠におめでとうございます。
 誰しもどこかで経験したことがありそうな何気ない出来事を、愛おしく思える瞬間として描き出せる藤野さんの才能にとても魅了されました。文章から伝わってくる温かさはきっと藤野さんのお人柄そのものなのでしょう。
  私の愛する故郷宮崎で、そしてあらゆる場所で、この先も藤野さんの優しい世界が愛され続けますように……。
  益々のご活躍を心からお祈りしております。

 

 

 一家のその後を描いた続編『じい散歩 妻の反乱』とあわせて累計20万部超のベストセラーとなった本作、この度の受賞を機に改めてご注目下さい!

 

 

【あらすじ】
夫婦あわせて、もうすぐ180歳。中年となった3人の息子たちは、全員独身――。明石家の主である新平は散歩が趣味の健啖家で、女性とのコミュニケーションが大好き。妻は、そんな夫の浮気をしつこく疑っている。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男は恋人が男性の自称・長女。三男はグラビアアイドル撮影会を主催しては赤字で、親に無心ばかり。皆いろいろあるけれど、「家族」の日々は続いてゆく。そんな一家の日常をユーモラスに、温かな眼差しで綴った物語。(解説・木内昇)