話題作『死に方がわからない』で「自分のためのよりよき死に方」を追求した著者が、今度は「健やか、かつ美しい老い方」を古今の書物や専門家へのインタビューをまじえて考察し、とことん探究した、ユーモア溢れるポジティブエッセイ。

 

「老後」に考えても遅いのです。「老いる前」に備えること、考えることのあれやこれやを教えてくれる一冊

 

 担当編集Hの母親は認知症で地方で独り暮らし。外猫のお世話もつづけたいし年寄りに囲まれて暮らしたくないからどうしても施設に入りたくないの一点張りのため、いよいよHは通いの老々介護に突入した。こどもがいる親の一定数は「こどもがいれば、老後はなんとかなるだろう」「認知症になっても、こどもがどうにかしてくれるだろう」「本家だけど、家や墓の問題はこどもがなんとかしてくれるだろう」という考えを持っているのではないだろうか。

 

 ひとりっこで独身のHは、とりあえず親の介護は「なんとかするしかない」運命なのだ。そこで思う。では、こどもがいない自分の老後は一体どうなるのだろうか、と。認知症や身体が動かなくなる前に、いろいろと備えておかないといけないという状況に気づき、途方に暮れていたHにとって、本書はお守りのように安心感を与えてくれた。

 

「人は、老いを止めることはできません。しかし、老いは災害と違って突然やってくるものでもありません。目を背けず向き合えば、きっと最後までうまく付き合えるのではないか。いつかどこかで振り返ることになる人生航路が、良き思い出で満ちるものになるよう、お互いがんばりましょう」(あとがきより)

 

 NPO法人「身寄りなし問題研究会」代表・須貝秀昭氏から推薦コメントをいただきました。

 

 こんなに生々しく「老いを考える」本があるだろうかおひとりさまの著者だからこそ、深掘りし、さらにわかりやすく解説できるのだろう。おすすめです!