中高年世代の性愛にタブーを怖れず挑んだ衝撃作『今日の花を摘む』(田中兆子著)が、第3回『本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞』を受賞いたしました。https://books.bunshun.jp/articles/-/8555

 

選者 書店員さんコメント(「オール讀物」’24年2月号より)

 

みんなが自分らしくいられる道を見つけていくラストは、とても幸せな気持ちに。
──花田菜々子さん(蟹ブックス)

 

大人の恋愛小説が読みたいお客さまにこの本をお勧めしたら、驚かれてしまうかも!
──高頭佐和子さん(丸善丸の内本店)

 

『今日の花を摘む』あらすじ

私の趣味は、男性との肉体を伴ったかりそめの恋。それを、私はひそかに「花摘み」と呼んでいる──。
出版社に勤めるかたわら茶道を嗜む愉里子は、一見地味な51歳の独身女性。だが人生を折り返し、「今日が一番若い」と日々を謳歌するように花摘みを愉しんでいた。そんな愉里子の前に初めて、恋の終わりを怖れさせる男が現れた。20歳近く年上の茶の湯の粋人、万江島だ。だが彼には、ある秘密があった……。肉体の衰えを感じ始めた世代のリアルな性愛を軸に、自分を偽らずに生きる女たちの姿と、その連帯を描いた著者初の長編小説。

 

全国の読書好きやメディア関係者からも大注目(NetGalleyより)

 

中年から初老ならではの恋愛の苦悩や逡巡を繊細なタッチで描く。
まさかの着地までもが計算されていて美しい。(レビュアー)

 

性愛において、身体の結びつきが幸せと感じる世代もあれば、心の繋がりが大切と感じる世代もある。
なんらかの形で人と繋がっていることが幸せである。
そんなことを改めて感じる作品だった。(メディア/ジャーナリスト)

 

自分の身体が変わってくる年代の女性のリアルな性愛事情に引き込まれ一緒に体験しているような気持ちで読み終えた。
そして読んだ後も何度も思い出す、そんな本でした。(レビュアー)

 

女性側からの性欲や性へのこだわりを語ることは今でもタブー視される中で、こんな赤裸々に前向きに、自分の求めるセックスを追求し、体の変化を具に開陳することに、驚きとともにいっそ清々しい熱量を感じました。(レビュアー)

 

色恋がキツすぎたり、肉々しかったら…と躊躇したけれど、女性として肉体の衰えを感じ始めたリアルな心情はシンパシーを感じるところもあった。
仕事をしていく上での葛藤、嫉妬、トラブルそしてシスターフッドも描かれ読み応えのある物語でした。(書店関係者)

 

充実した読書体験だった。
女性の出世やセクハラ告発する顛末もとてもリアルだったし(現代の日本を表しているみたいだった)、主人公の年齢だからこその恋や性の悩み、介護や家族関係など、パンチを喰らった。
茶道にも詳しくなれる一冊です。(レビュアー)

 

ちょっと躊躇しながら読み始めたが、丁寧に書きこまれた茶道に関する描写に不思議と物語に惹きこまれていった。
そこから先は更年期の体の変化、女友達とのいざこざ、親の介護、昇進問題、部下が被害者になったセクハラ問題などが出てきて、これは50代女性の人生の多様性を描いた作品だと強く実感させられ、常に自分らしく生きる愉里子の姿には清々しさを感じながら読了。(レビュアー)

 

“本屋さんお墨付き”のこの1冊。この機会にあなたも大人の恋愛に没頭してみませんか?