夫なし子どもなし恋人なしひとりっ子、親は高齢で親戚づきあい薄め、友だちも少ないアナタ、不安じゃないですか? わたしは毎日不安です(担当編集H)。
毎朝、眼が覚めてまず思うのは「あ、死んでいなかった」ということ。独り暮らしが長いと、ほんとにこれは切実。寝ている間に死んでいたらどうしよう。飼い始めたばかりの保護猫は誰がめんどうをみてくれるんだろう。少ないけれど遺産の整理は誰がするんだろう。なにより死後何日で発見されたんだろう。腐ってないかな。発見してくれた人のトラウマが心配……。
心配性なわたし(担当編集H)は、今日も無事に眼が覚めたことをお天道様に感謝する。だが、その日の夜、ベッドに入る頃には、また「寝ている間に死んじゃって腐ったらどうしよう」と、くよくよするのである。
病気で危篤になっても、親族以外は病室に入れないということを小耳に挟み、「もう誰でもいいから結婚して」と(心の中で)叫んでいる。年ばかり取っていくのに、何をどう対策したらよいのかわからない、そんな不安を本書の著者である門賀美央子氏にこぼしたら、「こんなサービスがありますよ」「お互いにLINEで、生存確認しましょうか?」など、目からウロコな有益な情報をいろいろと教えてくれた。
こんな大事なこと、ボッチさんだけじゃなく、みんなに知ってほしい! シェアシェア!そんなきっかけで本書『死に方がわからない』ができたのである。
「死」を知れば、「死ぬこと」は、それほど怖くないわけで。
死に関する「わからないこと」は、ざっと挙げてもこれだけあるんだけど、みんなはいくつわかるかな?
「家族に頼れるかはわからない」「理想の死況がわからない」「孤立死の避け方がわからない」「いつ死ぬのかわからない」「死に方プランがわからない」「死に場所がわからない」「尊厳死の仕方がわからない」「死に時がわからない」「死後手続きがわからない」「お墓をどうすればいいのかわからない」「遺品整理がわからない」「財産処分がわからない」「繋がっておくべき他者がだれなのかわからない」「保険金受取人がわからない」(目次より抜粋)。
この「わからないこと」が、本書を読むと知らない間に「わかってくる」から不思議。学校の勉強も、こうあって欲しかったと思うけれど、たぶん、自分にとって切実な問題だから、脳みそもフル回転してくれているのであろう。
ベストセラー作家、垣谷美雨氏も大絶賛!
『老後の資金がありません』『あなたの人生片づけます』『姑の遺品整理は迷惑です』など、誰にでも訪れる家庭や個人の問題を、ユーモアとペーソス溢れる筆致で描くベストセラー作家・垣谷美雨氏が推薦コメントを寄せてくださいました。
「家族の有る無しに関わらず、とてもタメになる本です。私もこの本に沿って自分の死に方を真剣に考え、早速準備にとりかかろうと決めました」
「死んじゃえば腐乱してようが、汚部屋だろうが、人に何言われてもわかんないしー」とかいうアナタ、死に様は人生最後の通信簿だと思うんですよ。
腐乱死体で見つかるのを恐れていたわたしだったが、この本を読み終えたあとは、かなり気持ちがラクになった。そして、怖いのは死んで腐乱することではなく、“社会から見えない存在”になってしまうことだということもわかった。本書は、そうならないよう準備すべきことを、ユーモア溢れる文章で教えてくれるポジティブな実用エッセイだ。
これまで、孤立死の不安から「エンディングノート」を何度も書き直していたわたしだったが、今は「家計簿」と断捨離と、同年代のおひとり様との「おはよう」LINEをかれこれ1年ほど続けている。本書のおかげで精神の安寧を得ました。合掌。
人生のゴールの切り方が見えてきた今、わたしはようやく落ち着いて今後の「生き方」に向き合えるようになってきた。
お先真っ暗なのは、変わりない。
うんざりである。
だが、少なくともゴール地点に灯りを点すことだけはできた。
死に方を見つけた結果、わたしは生き方に集中する心の余裕を得た。
行き先さえ見えていたら、あとはそこに向かってのんびり歩いていけばいい。途中で落とし穴に落ちても、なんとかなる。(本文より)