一度しかない自分の人生、どう生きていくべきか。

 

『やがて飛び立つその日には』は、きっと誰もが思い悩んだことのあるそんなテーマに真正面から向き合って生まれた物語である。

 

 本作の主人公は、自然豊かな里に暮らす、虫をこよなく愛する活発な少女・花守ひばり。生まれたときに母親を亡くしながら、素直で心優しい性格に育ち、仲良しの幼馴染2人と共に青春を謳歌するひばりだったが、15歳の誕生日、亡き母が生前遺していたメッセージを受け取り、自らの出生にまつわる重大な秘密を知ることになる。

 

 その秘密とは、花守家は里のご神木であるハクモクレンにルーツを持つ特殊な一族で、子孫は女に限られ、子供を産むとその代の役目を終えて命を落とすことになる、というものだった。

 

 知らされた事実にショックを受け、恋をすることを諦めてしまったひばりだったが、ある日、そんな彼女に1人の男性との運命的な出逢いが訪れる。

 

 自分の命を1番に考えて、出産しないという選択をするか。それとも、同じように思い悩んできたであろう先祖と同じく、命のバトンを繋いでいくのか。

 

 支えてくれる大切な人たちの温かさに触れ、改めて自らの背負った宿命と向き合うひばりが見つけた、「生きること」の意味とは──?

 

「今を懸命に生きること」をテーマとした本作は、全編を通じて登場人物たちの飾らない感情に満ち溢れている。時にすれ違いながらも、互いを想いあう気持ちには、きっと強く心を打たれ、温かい涙が流れることだろう。

 

 著者の前作にあたる『彼女が花に還るまで』(2021年5月刊・双葉文庫)は、「第4回双葉文庫ルーキー大賞」を受賞し、異例の発売前重版を果たしたことでも話題になった感動作。

 

 実はこちらは本作の前日譚で、様々な意味で対となっている物語。どちらから先に読んでもそれぞれに発見がある形になっているので、未読の方はぜひ、この機会に併せて読んでみてはいかがだろうか。

 

 

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