千葉刑務所を脱獄し、亡き妻の復讐と娘・萌子の誘拐事件を解決してから三年――。笠原武大は輪島で塗師として修業の日々を送り、萌子は金沢の伯父の家に下宿しながら高校に通っていた。春の雨の夜、何者かが離れて暮らす二人を同時に襲った。笠原は不意を衝かれて囚われの身となるが、萌子は辛くも逃げ延びバイクで南を目指す。一方、警察庁警備局公安課特別捜査室〝サクラ〟に所属する田臥と室井は、父娘失踪の報を聞き、萌子誘拐事件の主犯でありながら罪を免れた日本神道連議会の板倉勘司の関与を疑っていた。
(ブックレビュー:小説推理20