有吉弘行が日々書き溜めたメモの数々。それらを一冊にまとめたメモ帳・『有吉メモ』が発売された。長年、太田プロの後輩として交流のあるマシンガンズはこの『有吉メモ』をどう読み解くのか? ゴミ清掃員としても活躍し、ゴミに関する講演も数多くこなす滝沢秀一と、発明グッズが商品化され発明家としての顔を持つ西堀亮。2人ならではのメモ帳活用方法もうかがった。
有吉さん、いま植物の話してるときが一番楽しそうですね
──マシンガンズさんの先輩芸人である有吉弘行さんが『有吉メモ』という書籍を出版しました。こちらはカラフルでの連載を1冊にまとめたもので、読者の皆様もメモできるような余白スペースも作った「メモ帳」としても使える本になっています。
滝沢秀一(以下=滝沢):自分でもメモできるというところが面白いですね。
西堀亮(以下=西堀):連載時にマシンガンズのこと書いてくれているメモもありましたよね。「西堀が韓国旅行に行って嬉しい」みたいな。(編集部注:有吉メモ23回より「1137. 西堀が海外旅行、なぜかとても嬉しい気持ちだ。」)それXにポストしてる人がいて知ったんですけど、もう感情としては、先輩通り越して親ですよね。喜んでくれてるんだなって、『有吉メモ』を通じて初めて知りました。あまり直接的に言葉では言わない方なので驚きました。
──『有吉メモ』を通じて有吉さんの本心を知るってこともあるんですね。実際、お2人は普段の生活でメモ帳は使っていますか?
滝沢:メモアプリみたいなやつ使ってますけど、書いても下の方とか読まないですもんね。だから、この『有吉メモ』はネタ帳に使わせてもらうのがいいんじゃないですか? 1日1つ書いていく仕様になっているので、1日必ず気になることを書き込むとかだったら、強制的にネタが作れる。マシンガンズってネタ作んないから、もう強制的に(笑)。
──はたから見たら文庫本だけど、実はネタ帳っていうのもいいですね。有吉さんは『有吉メモ』の前書きで、このご時世SNSに書き込むと炎上するから、自分だけのメモ帳に書き込むほうがいいと言ってました。
西堀:わかる。『有吉メモ』もSNSでのつぶやきの羅列ではなく、一冊になることで、ひとつの作品になってますよね。最近、僕もよくSNSでも「嘘つけ」って言われるんですよ。本来ならSNSで噓ついてもいいわけじゃないですか。自由になんでもありのはずなのに、厳しすぎませんか(笑)? そういう意味では、誰からも文句言われないからいいですよね。
──読んでみて「これ有吉さんっぽいな」って思ったメモはありますか?
西堀:やっぱりこれですよ。「飛行機ビジネスクラスですごく偉そうなおじいさん引く」。有吉さんって、いい意味でずっと貧乏臭いとこあるんですよ。もう地位もお金も全て手に入れてるわけじゃないですか。だけど値段とかにめちゃめちゃ過敏なんです。「高いな!」とか。
──庶民感覚がきちんとある方なんですね。
西堀:そう、俺が発明してグッズ化した靴丸洗い洗濯ネットがあるんですけど、それを「1700円は高い」ってずっと言ってます。100個とか200個買える人なのに! なんかそのへんはずっと変わらないですよね。
覚えてるのは、昔一緒に超有名ブランドの店に入って服見てたときに、シャツ見て僕を小声で呼ぶわけですよ。「ちょっとこれ、8万!」って(笑)。で「俺たちの来るとこじゃないな」って言うわけです。いやいや、俺は「有吉さんなら買えるでしょ!」と思うんですけど……。有吉さんがハイブランド身に着けてるの見たことない。あの人、城でも建てようとしてるんじゃないですか(笑)?
滝沢:そのあたりが昔から全然ずれない方ですよね。
──滝沢さんは何か気になるメモありましたか?
滝沢:何を思って書いたんだろうなっていうメモがやっぱ気になりますね。たとえば「ネットの調べ方が下手」って、どういうシチュエーションで思ったことなのかなって。
──何かを調べようと思ったとき、検索ワードの入れ方で気になったところがあったんですかね。
滝沢:なるほどなるほど。そうやってメモから有吉さんの当時の姿を想像するのが面白いですね。「おみくじの口調笑う。」の「おみくじの口調」って「待ち人来る」とかですかね。それ有吉さん、笑うんだと、こうやって想像膨らませながら読むのも面白いです。
──さて、先ほども申し上げたように『有吉メモ』はメモ帳としても使用できるので、ぜひマシンガンズのお2人なりの活用法をご紹介いただければと思います。
滝沢:はい、書けました。有吉さんのメモに関連付けたゴミの知識を書いたメモ帳にしていきたいと思います。ゴミネタ1000本ノックですね。

──すごい! 全部有吉さんのメモに呼応しているんですね。
滝沢:有吉さんのメモが「東京は猫とネズミのサイズ差がない。」だったので、僕は「新宿のネズミは会釈もしてきます、有吉さん‼」に。その次のページでは有吉さんが「背中まで毛まみれのタイプんも人って大きい人ばかり。痩せの背毛は存在しないのか?」だったので、僕は「背毛は燃えるゴミです、有吉さん‼」といった具合に。
──どんなことも全部「ゴミ」絡みで返す練習帳になりますね。イベントや番組で役立ちそうです。
西堀:僕は発明のアイデアメモにしました。「暗いとこで携帯の充電器ちゃんとハマんない」という有吉さんのメモからヒントをもらいまして、ケーブルの周りに磁石がついていて、突っ込んだら自動的にまっすぐ入るようになってる。

──すごい、今ひらめいたんですよね。西堀さんは、今も発明されているんですか?
西堀:それこそメモってる程度ですね。
──一時期、マシンガンズさんは、ゴミと発明の二本柱で今後やっていくのかな、とも思ったんですけど。
滝沢:本当はそうなったら一番いいんですよ。
西堀: 発明はやっぱり思いついても採用されにくいですよね。「実際、商品化するとなると、モニターさんに頼んだり、特許費用もかかる。だから、お笑いをやってるっていう知名度を生かして、「芸人・西堀」として発明をしないと。
滝沢:ゴミと発明でYouTubeやって、やりたい企業が手を挙げてやればいいのにね。
──かつての『マネーの虎』みたいな感じで。
西堀:ああ、いいかも! そうすると、ゴミ関連の発明ってことで、ゴミ汁の液体を減らすアイデアとかがいいのかな……。
滝沢:そうね、水をろ過するやつはあるからね。
西堀:ろ過するやつは俺、防災グッズで持ってるけど優秀だね。99%くらい綺麗になるっていうもんね。ただ海水だけ全然使えない。海水はすごい難しいんだって。
──雨水はいけるんですか?
滝沢:雨水が一番きれいなんですよ。雨が30分降ったら、ほこりも全部叩き落としてるから。
西堀:だから逆においしくないっていうよね、雑味がなさすぎて。それでなのか雨水って販売されないもんね。一番きれいなのに。
──……あの、もうちょっと、有吉さんの話してもらっていいですか。正直、雨水とかどうでもいいんで(笑)。
西堀:そっちがその話しないからだろ!
滝沢:話、振ってくれよ。よく考えたらそっちの仕事だろ!
──では、気を取り直して。ここ最近、有吉さんと関わりってありますか?
滝沢:BSの『有吉園芸』ですね。ラジオも1か月くらい2人でアシスタントさせてもらいましたし。
──『有吉園芸』はナレーションもされてますもんね。
西堀:もうマシンガンズ2人でやってるよ! 俺がナレーションして、出演もマシンガンズなんだから。で、クレームがきてたよ!
滝沢:その気持ちはわかるよ! でも俺らに言われても困るから!!
西堀:なので、そこで接点はありますね。昨日も収録で会いましたし。
滝沢:有吉さん、いま植物の話してるときが一番楽しそうですね。
西堀:最近プライベートで会う機会がなかなかなくて。コロナ禍くらいから疎遠かもしれないです。前と比べていまは朝方になって、だんだん健康になってきましたよね。歩くのも元々好きだったんでしょうけど、本格的に歩くって言い出したのもそのくらいの頃だったかも。
──『有吉メモ』には西堀さんと旅行に行ったエピソードも載っていました。
西堀:結構行ってますね。富山、岩手、新潟。前、有吉さんが「いい宿がとれたんだ」って言って旅行に行ったんですよ。でも着いて宿入ると、宿の人が怪訝そうな顔で俺のこと見てるんです。いざ部屋入ったら、カップル専用の部屋で(笑)。布団ぴったりくっついていて驚きましたよ。ああ、宿の人の反応、そういうことかって(笑)。まず最初に部屋入って布団ずらしましたからね、2人で。
──何回も旅行行ってる仲だと、もうお2人は友達みたいな感覚なのでしょうか。
西堀:いや、俺は後輩だからちゃんとしなきゃって思う場面はありますよ。
──滝沢さんは有吉さんに対して緊張する場面ってあったりします?
滝沢:うん、ずっと。先輩ですし、それは当然。
西堀:だってあれ見ました? 今年の『オールスター後夜祭』の冒頭「88席イス取りゲーム」で、入り時間にスタッフが誰も呼びに行かないけど、ちゃんと生放送に間に合ってスタジオに入っているか、っていう企画。あれ太田プロの芸人、最初から全員きっちり座ってましたから。
滝沢:そういうことなんですよ。
──やっぱ太田プロ芸人の中で、有吉さんの前ではぴしっとしなきゃいけない存在っていうのがあるんですね。ぜひ『有吉メモ』からも有吉さんの心の声を感じていただけたらと思います。本日はありがとうございました。