世間を揺るがす事件・事故・ゴシップ報道……の脇に、ひょっこり登場する野山の鳥たち。Yahoo!ニュースで、モフモフのスズメや色鮮やかなカワセミの写真などをご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
初めまして。兵庫県の地域紙・丹波新聞「鳥部」の森田靖久と申します。
「鳥部」といっても部員は記者の森田ひとり。コロナ禍でネタ切れの頃、季節感をも伝えてくれる野鳥たちの記事を配信したところ、多くの嬉しい反響を頂戴し、コメント欄から「鳥部」と命名していただいて、現在に至ります。
とはいえ、野鳥写真を撮り始めてまだ数年の身。高価な機材も腕もなく、最近は相棒のカメラが故障しました。
折れそうな心を叱咤激励しつつ、レンズを向けるのは、図鑑にバーン!! と掲載されるような珍鳥。ではなく、日常目にするツバメにモズ、サギにメジロなど「ご近所さん」の姿。胸がキュンとする可愛い仕草、「なんやソレ」の面白ポーズを見せてくれるのは、ずっと一緒だからこそ叶う、私の唯一の武器と自負しています。
最新研究によれば、愛らしい動物の写真や動画を眺めるだけで、心拍数や血圧が下がって癒やし効果が期待できるほか、仕事の集中力が高まるんだとか。
人間がコンクリートジャングルで生き始めたのは最近のことであり、何万年もかけて進化してきた人類の脳は、まだ、そんな暮らしに対応しきれていません。自然から季節の移ろいを感じる。ともに生きる鳥たちを愛で、生の喜びと苦労を知る──おかげさまで、鳥部のコメント欄がいつも平和でほのぼのしているのは、皆さんに備わった「本来の人間らしさ」の成せるわざなのかもしれません。
ただ近年、野鳥の数は減少傾向。夏は40℃超、冬はドカ雪の丹波地域も同様です。2024年には、最も身近なご近所さん・スズメの減少率が絶滅危惧種レベルという衝撃的なニュースも報じられました。
鳥部が、そして皆さんが見かけている鳥たちが、実は未来永劫、そこにいるとは限らないかもしれない。どうかこれからも生きていてほしいし、いつまでも愛で続けていたい。そんな願いを、『いつも、いつまでも。』というタイトルに込めました。
人生に疲れ、「ふう」とため息を漏らしてしまう瞬間。本書が皆さまのそばにあって、命を考え、「よし、明日もがんばって生きていこう!」と思える力になることを切に祈っています。