40代になって再会した、初恋の同級生はなぜか高校生の姿のままだった! どうして彼女は年を取っていないのか。怪しい連中に追われている初恋の人を助けるため、元ヤンの40代オッサン2人が活躍する傑作小説の魅力を編集担当者が紹介します!

 

俺が恋した千年少女

 

 いつの時代も愛されているヤンキー漫画。90年代に大ヒットした『ろくでなしBLUES』や『湘南純愛組』、そして近年ブームとなった『東京リベンジャーズ』など、はみ出し者なのに優しくて義理堅い不良は、多くの人の心を掴んできた。

 そして冒険や超常現象といったジャンルもまた、根強い人気だ。未知の世界への探求心は尽きることがない。編集担当の私(40代男性)も、子供の頃は映画『インディ・ジョーンズ』やオカルト雑誌『ムー』に夢中になったクチだった。永遠の命の謎、ピラミッドに隠された秘密、どんな病気でも治す伝説の薬……いまでもやっぱり心が躍る。

 そんなヤンキーの魅力と冒険のスリルが見事に絡み合った、「ヤンキーが不老不死一族と対決する冒険小説」という、わくわくが止まらない物語を斉藤詠一さんは書いてくれた。デビュー作『到達不可能極』も南極×SF×冒険がテーマで、著者の紡ぐ物語はいつも胸熱なのだ。

 主人公の赤城錠一郎(通称:赤鬼)は高校時代にコンビを組んで暴れ回っていた青葉礼司(通称:青鬼)に誘われて同窓会に行く。錠一郎の目当ては初恋の人・弥生だったが、やはり同窓会には来ていない。弥生は高校3年生の夏にいきなり転校して音信不通になっていた。やはりいない……落ち込む錠一郎だったが、SNSで弥生を検索してみることに。錠一郎しか知らない弥生の渾名を検索すると、ヒット! だが、弥生の写真は25年前と変わらず可愛い高校生のままだった。弥生の背景に見えるのは東京スカイツリーで、彼らが高校生の時にはなかった。写真は合成ではない。本物なのだ。どうして弥生は年を取っていないのか。本当に弥生なのか。錠一郎は弥生にDMを送り、止まっていた2人の時が動き出す。

 赤城はあまりパッとしない商社のサラリーマン、礼司はITエンジニアで小学生の子を持つ中年太りのパパ。かつては地元を震撼させた赤鬼青鬼コンビも、すっかり40代の冴えないオッサンに。怪しい連中に追われる不老不死の少女・弥生を助けることで、高校時代の輝きを再び手に入れられるのか。錠一郎の必殺技「レッドバット」は再び炸裂するのか。喧嘩に明け暮れ、バイクで駆け回った青春を取り戻す不良コンビの冒険はたまらなく熱い。