『女王はかえらない』で第13回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞したミステリー作家・降田天の最新作『少女マクベス』が2024年8月28日に刊行されます。

  今作で描かれるのは女子生徒だけの「演劇学校」を舞台とした学園ミステリー。学内一の天才と謳われた劇作家志望の少女が、自身の手がける「マクベス」の上演中に舞台から不審な転落死を遂げます。彼女の死の真相とは──?

 今回は、著者のコメントとともに、発売前から寄せられている全国の書店員さんからの応援の声をほんの一部だけご紹介! 気になったかたは、双葉社文芸総合サイト「COLORFUL」にて公開中の「試し読み」をぜひご覧になってください!

 

学内一の天才と謳われた劇作家志望の女子生徒が、
自身の手がける「マクベス」の上演中に舞台から不審な転落死を遂げる。
彼女の死の真相とは──?

 

【あらすじ】
演劇女子学校に入学した結城さやかは、劇作家を目指している。同学年には同じく劇作家志望で、学内一の天才と謳われる設楽したらりようがいた。了は俳優の能力を引き出し、観客を魅了する舞台を作り上げる卓越した才能をもっていた。了の手がける舞台に上がりたい、了に認められたいと俳優志望の生徒達はこぞって渇望する。次第に周囲から「神」とまで崇められた了は、横暴な振る舞いをしても良い舞台を作るためだと許された。しかしそんな了は突然、自分の手がける演劇の上演中に舞台から転落死する。不幸な事故だと片づけられたが、翌年の春に入学してきた新入生・藤代ふじしろ貴水たかみは全校生徒の前で高らかに宣言した。「わたしは、設楽了の死の真相を調べに来ました」──さやかは貴水に巻き込まれる形で、了と生前の関わりのあった生徒を調べることになり……演劇を愛する生徒達の眩く鮮烈な青春を描く学園ミステリー!

 

書店員さんから絶賛の声、続々!

 

演劇に携わる人材育成のための女子エリート教育機関。と聞いただけですでにぞわぞわする。才能と才能がぶつかり合い、舞台という芸術に魅せられた若きエゴがひしめき合う園で、事件が起こらないはずがない! そしてたどり着いた「真実」。あぁ、いくつも手掛かりはあったのに、いくつも伏線が張られていたのに。誰もが心に抱える奈落に、堕ちるか、堪えるか。全てが明らかになったときのカタルシスよ!
(精文館中島新町店 久田かおりさん)

 

学園ものらしい瑞々しさの中に不穏さが垣間見え、続きが気になって読む手が止まらなかった。なにより天才をめぐる物語は大好きだ。桁違いの才能を持つ者への周囲の嫉妬、羨望、恐怖、諦め、服従。そしてそんな感情の渦を一顧だにせずはるかな高みをのぞむ天才の姿は痛快な気持ちにさせてくれる。個性豊かなキャラクターたちも魅力に富んでいて、それぞれのサイドストーリーも読んでみたいと思わせるほどだ。(HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん)

 

最初に見ていた景色がどんどん違う景色へと変容していく展開に、胸のざわめきが止まりません。まさに、狂気のマクベスのような人間ドラマ。才能への嫉妬、自身への葛藤、過剰な羨望。そんな灰色の感情が解き放たれていくようなラストに、爽快な気持ちが込み上げました。緻密なトリックが編み込まれた、戯曲のような学園ミステリ! (紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん)

 

それぞれの秘密を抱える少女たちに感情移入し、心が締め付けられる思いがしました。臨場感溢れる展開に心拍数が上がり、さながら一本の演劇を鑑賞しているよう。切なく痛ましく眩しい青春と、ミステリーの面白さがギュッと詰まった、読み終えるのが勿体無いほど心地よい余韻に浸れる作品です。学生はもちろん、かつて少年少女だった大人の方にも読んでほしい、胸に迫る青春小説。
(紀伊國屋書店久留米店 池尻真由美さん)

 

 

こんなにも演劇の世界とは魅せられてしまうものなのか。誰もが天才と認める少女、上へと様々な方法で目指そうとする彼女たち。その闇が深いほど、幕が上がるときらびやかな輝きへと変わっていく。人間の泥々とした感情と、切なさが交差し、ラストに信じられない光を見た。
(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)

 

こんな設定があったのか?こんな展開を誰が予想したか?
マクベスを知らなくても、演劇に興味がなくても関係ない。
この作品自体が最高の演出で構成されています。
(TSUTAYA BOOKSTOREららぽーとEXPOCITY 飯室繁樹さん)

 

 

始まりの10ページと1文字で、もうこの本を手放せなくなりました。読み終わったら、あのページはどこだっけ? あのセリフがでてきたのはどのページだったっけ?と本をひっくり返し、絶対また読まないと!と思うくらい、1回読むだけじゃ勿体ない作品でした。そんなふうに面白いと感じながらも、ひとりの少女の死が痛ましく悲しいものであることを実感して、泣きそうになりました。
(Iさん)

 

 

それぞれの思惑がうごめくオーディションが始まり、真実がわかった時……そうだったのかと思うと同時に、まだこの世界に浸っていたいと思ってしまいました。まるで目の前の舞台を見ているかのようなイメージが頭の中に流れ込んでくる。願った先で手にしたものは喜びか絶望か、がっしり心を鷲掴みされたミステリーでした!
(うさぎや宇都宮テクノ店 太田貴美子さん)

 

著者コメント

 突然ですが、私には〈神〉がいます。あなたに〈神〉はいますか?

〈神〉を崇める人、〈神〉に近づこうとする人、〈神〉を守ろうとする人、〈神〉に戦いを挑む人、〈神〉に正面から向き合おうとする人。──〈神〉との関係性は多様です。

 およそ6年ぶりの書き下ろし長編は、演劇女子学校を舞台にした「〈神〉と呼ばれた少女の死」を巡る物語になりました。真っ白い画面に最初の1文字を入力してから5年、ようやくお届けすることができ感無量です。

 本作はミステリーではありますが、結果として少女小説的な色合いも濃い作品になりました。少女の姿をした亡き〈神〉に捧げる、少女の、少女による、少女のための演劇の行方とその先にあるもの、〈神〉と彼女たちの結末を、見届けていただければ幸いです。

降田天