小説

双樹、戦ぐ

双樹、戦ぐ
イラスト:かわのまほ
あらすじ

関ヶ原の戦いの混乱で離れ離れになってしまった少年ふたりが、長崎、マカオなど世界を駆け巡り、片や商人、片や宣教師のもとで、数奇な運命をたどる。二人の人生は奇妙に交錯し、友情を育みながら、激動の世を生き抜いていく。

第27回
一六二二年八月――マカオの戦いから約ひと月後。  万吉のいない家は、静かで広かった。ふとした瞬間に… (2021年7月12日)
第1回
火柱が何本も立つ、紅蓮(ぐれん)の森を人々が逃げ惑う。 人々の悲鳴を聞きながら、龍之進(りゆうのし…(2020年6月10日)
第2回
三日後、人商人に腰縄を引かれ、龍之進は長崎の町へ入った。 田畑に囲まれ、海に向かって伸びる岬にでき…(2020年6月25日)
第3回
二年九か月後―― 一六〇四年 二月 長崎の町は、ますます大きくなっていた。今や八千人以上の人々が住…(2020年7月10日)
第4回
三日後の夕刻、多聞は、龍之進に頭と口を布で覆わせ、内町の崖沿いに建つ町屋を改築した牢屋敷へ連れて行…(2020年7月27日)
第5回
龍之進は、サン・ラファエル号の船首で風を受け、空と大海原を眺めた。『やはり後を追うことにした。しば…(2020年8月11日)
第6回
開け放たれた窓から、春の海風が入ってくる。二階から、沙羅は、マカオのリラウ広場をぼんやりと見下ろし…(2020年8月25日)
第7回
四年間、ずっと沙羅を捜してきた。沙羅が無事であることを祈ってきたけれど、まさか噂の〝シルバの女主人…(2020年9月10日)
第8回
トリスタンと顔を合わせるのは、いい気持ちはしない。トリスタンは、落ち着きと余裕を感じさせる大人だっ…(2020年9月25日)
第9回
一六〇九年九月 長崎 多聞は、二か月前、李旦から受け取った龍之進の書状を読み返した。 その内容は、…(2020年10月12日)
第10回
駿府から、ポルトガル代表団が長崎へ戻ってきた。 聖パウロ教会堂の正門前で多聞が出迎えると、パードレ…(2020年10月26日)
第11回
夕方、大神学校の図書室で多聞がラテン語の書物を探していると、ロドリゲスが入ってきた。ロドリゲスの眉…(2020年11月10日)
第12回
「二枚舌の交渉人。そなたのほうがよほど信用なりません」 ロドリゲスは、バレンテの後ろ姿を見送り、そ…(2020年11月25日)
第13回
多聞は、駿府へ向かうため旅支度を整えた。表向きの理由は、「大坂や駿府で書物を手に入れ、遠国を旅する…(2020年12月10日)
第14回
数日後―― 一六一〇年一月一日 多聞は、日本の正月を楽しみにしている。教会は、春の復活祭や冬の降誕…(2020年12月25日)
第15回
三か月後――六月 マカオ 李旦から多聞の消息を手渡された龍之進は、その場ですぐに読んだ。その間、李…(2021年1月12日)
第16回
多聞は、通りに居並ぶ信者たちに紛れて、声がしたほうを見る。 鋭い鞭の音が徐々に近づいてくる。鞭打ち…(2021年1月25日)
第17回
日本を追放されて八年後―― 一六二二年二月 マカオ 多聞は、石段をゆっくり上りながら、聖パウロ聖堂…(2021年2月10日)
第18回
日が傾き、マカオの空も海も薄紫色に染まっていた。 荷を担ぐ人足たちが倉庫を行き来するのを尻目に、バ…(2021年2月25日)
第19回
港の船大工たちにフェルナンデスの家の場所を尋ね、龍之進は、彼の家へ向かった。フェルナンデスの家の前…(2021年3月10日)
第20回
元老院庁舎からディアスの家に戻った多聞は、気もそぞろで仕事が手につかなかった。 もし破門されたら、…(2021年3月25日)
第21回
バレンテと話した日から五日後、一人の男が海で死体となって発見された。後に日本人とわかったが、男は首…(2021年4月12日)
第22回
――公判の当日。 雷鳴が轟き、大粒の雨粒が地面を激しく叩いた。 バレンテは、左手に金色の棍棒のよう…(2021年4月26日)
第23回
聖パウロ聖堂から取り巻きの聖職者と共に出てきたバレンテに、多聞は駆け寄った。「司教代理、お願いがご…(2021年5月10日)
第24回
「荷物は最小限に。九時課(午後三時)の鐘が鳴るまでにこの屋敷を出るんだ」 荷造りをしている召使いに、…(2021年5月25日)
第25回
聖パウロ聖堂内では、蝋燭が灯る仄暗い中、バレンテの取り巻きの聖職者たちが一心に祈りを捧げていた。そ…(2021年6月10日)
第26回
バレンテは、聖パウロ聖堂を出て、長い階段を下りていった。 これまで長い時を費やして出世の階段を上っ…(2021年6月25日)
著者プロフィール
著:大村友貴美

大村友貴美Yukimi Omura

1965年岩手県生まれ。中央大学文学部卒業。2007年『首挽村の殺人』で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。他の著書に『奇妙な遺産』『犯罪に向かない男』『存在しなかった男』『梟首の遺宝』など。近著に『緋い川』がある。

イラスト:かわのまほ