「そうだ、南西を目指さねえ?」親の期待に応えようと、難関私立中学合格を目指す伊吹は、夏の夜に神社で偶然会ったクラスメイトの多朗にそう誘われ、一夜の冒険に足を踏みだす。家出、友情、反抗、初恋、裏切り……。鎌倉の海辺を舞台に、ひとりの少年の12歳から18歳までの成長を描いた、瑞々しくも、切なくほろ苦い青春小説。