明治・大正・昭和の三代にわたり、日本の怪奇幻想文学史に不滅の偉業を打ち立てた、不世出の幻想文学者・泉鏡花。本書は、鏡花の名作佳品の中から、なぜかこれまで文庫化されていなかった、恐怖と戦慄と憧憬に満ちた怪異譚を蒐めた一巻。闇に明滅する螢火を思わせる「女怪幻想」の数々は、読者を妖しき異界へと誘う。