上様からお預かりしている巨大犬「仁王丸」も四歳になり、雌に興味を示すようになってきた。八方手を尽くしたところ、ついに花嫁候補が見つかった。やはり四歳の雌のマスチフで、名は「弁天」。体重13貫(約50kg)の堂々たる女丈夫である。が、初日に仁王丸が興奮のあまり突進したせいですっかり嫌われてしまう。わざわざ老中まで動かし長崎から招聘した珍犬、安易に返却するわけにはいかない。官兵衛は二匹の恋を実らせようと、御犬番の誇りを懸けて奮闘努力する! 笑いあり涙ありの御犬時代小説、感涙の完結編。