「東京に逃げることにしたの」。高校を卒業してまもなく、同級生だった順子から清美に連絡が入る。二十も年上の男と駆け落ちするという。故郷を捨て、極貧の生活を「幸せ」と言う順子に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた女たちは引き寄せられていく──。自分らしく生きてゆくことの難しさ、そこにある確かな希望を描いた物語。

 

 文庫刊行から10年の時を経て新たに仕掛けたダブルカバー。営業担当がその創作秘話を語る。

 

 

10年前の本をどうやって再度売り出すか

 

 文庫の刊行は2016年なので、約10年前の本です。改めて書店に並べていただけるなら他の本にはないアレンジをしたいと考えました。

 

 そこで、帯は全面手書き。

 カバーと同じくらい大きくしてもらった帯いっぱいに自分の気持ちを綴りました。

 書店で本を選ぶお客様に直接プレゼンするような、身近な友人に語るようなイメージです。

 

 SNSを開けば、誰かの喜びが光を放つ時代。私たちは遠くのまぶしさばかり追いかけてしまいがちです。だけど、この小説を開けば、自分にとっての「本当のしあわせ」や手元にある大切なものに改めて気づかされるはず。

 

 年齢とともに悩みは変わっていくものだと思います。

 恋人との関係、結婚、キャリア、妊娠、子育て、義家族との関係、夫婦仲、親の介護……。その渦中にある人にこそ読んでほしい一冊です。

 

 ままならない現実のなか、一歩ずつ前進しようとする登場人物たちを追ううちに、自分の中にもいつしか希望の光を見出していることに気づくでしょう。

 

 どうか、いま必要としている方の手に、届きますように。
 この本が、あなたの背中をそっと押してくれますように。

 

ダブルカバー表1/折り返しにあるメッセージ欄
ダブルカバー表4/折り返しにある桜木紫乃さんのメッセージ

 

「順子には戻れる場所もなく、贅沢な生活とはかけ離れているのに、心から幸せそうに見えるのはどうしてだろう?」

 

 物語のテーマともいえるこの問いかけは、SNSでは映しきれないものこそ、私にとっての「しあわせ」だったと気づかせてくれました。

 読んだときの感動を、本と一緒に言葉で残せたら──そう考え、カバーの折り返しはメッセージ欄にしました。自分と同じような悩みを抱える友人へのプレゼントに、一筆添えて贈るのも素敵です。

 

 さらに、桜木紫乃さんから直筆のメッセージをいただきました!

 このカバー限定で、最後までお読みいただいた方へのスペシャル特典です。桜木さんのファンの方も、初めてこの作品に触れる方も、どうぞお楽しみください。

 

 

北海道のコーチャンフォーで大きく展開中!

 

 著者の桜木紫乃さんと言えば、北海道出身・在住の小説家です。

 この度、北海道を中心に展開する全国最大規模の複合書店コーチャンフォーのご協力により、全8店舗でフェアを開催しております。

 なかでも、桜木さんの出身地であり、作品の舞台である釧路の店舗では、限定パネルを制作し、大きく展開中です。

 

 お近くにお住まいの方、あるいは店舗にお立ち寄りの際には、ぜひコーチャンフォーに足を運んでいただき、フェアの展示をご覧いただけますと幸いです。

 

 

▼展開店舗一覧

つくば店

若葉台店

北見店

美しが丘店

ミュンヘン大橋店

新川通り店

釧路店

旭川店

 

 

▼展開例

美しが丘店

 

ミュンヘン大橋店

 

新川通り店

 

釧路店

 

旭川店