初小説『クロ恋。』で小説家デビューを果たした安田大サーカスのクロちゃん。「恋愛博士の異常な愛情」「揺れる」「地球最期の日」「Lv.17の勇者」と、4つの恋物語を収録した同作を、クロちゃんと大の仲良しである高橋みなみさんがレビュー。『クロ恋。』の魅力と、世間でも話題の“クロちゃんの失恋”を語ります!

 

“クロ恋”っていうか、“ほぼクロちゃん”! もはや“クロ”というより“漆黒”です!

 

──クロちゃんが小説家デビューというニュースを耳にしての率直な感想はいかがでしょう?

 

高橋みなみ(以下=高橋):まず思ったのは“先生”になるんだということですね。クロちゃんは結構多才で、アイドルのプロデュースや楽曲の作詞をしたり、いろんなことができるタイプの人なんですけど、その際も、「俺プロデューサーだぜ!」「クロPです」みたいなことを言っていて。小説家デビューしたら、完全に「黒川先生」になる意向だそうなので……(笑)。

 

──小説家デビューの話はクロちゃんから事前に聞いていたんですか?

 

高橋:ここがクロちゃんのプロフェッショナルなところなんですが、正式発表があるまで友達にも「こういうことをしようとしてる」っていうのは言わないんです。『クロ恋。』発売の発表が出たときは、クロちゃんとちょうどお茶していて。「ちょっと小説家デビューするんですよ」って、高らかに宣言していました。

 

──4つの短編小説が収録された『クロ恋。』ですが、たかみなさんの“推し”作品はどれでしょうか。

 

高橋:「Lv.17の勇者」は本当にクロちゃんそのもの。“クロ恋”っていうか、“ほぼクロ”! 普段、仲良くさせてもらっているというのもあって、読んでる間もずっとクロちゃんがよぎるんですよ。「恋愛博士の異常な愛情」と「Lv.17の勇者」はクロちゃんが色濃く出ていますね。もはや“クロ”というより“漆黒”です! 

 

──「Lv.17の勇者」は、どんなところにクロちゃんを感じましたか?

 

高橋:「Lv.17の勇者」は、クロちゃんの少し複雑な幼少期の精神性が反映されていると思いました。いわゆる“中二病”みたいな、こじれた時期が彼にはあって……。校舎にずっと頭突きしていたとか、裸足で登下校していたとかいうエピソードをよく聞いていたんです。それもまさに、勇者になりたくて、強くなりたかったというのが理由だそうで。もちろんフィクションも入っていると思いますが、そういうところが、細かく作品に描かれていると感じました。変なエッセンスを残しつつ、48歳のおじさんになったクロちゃんが、青春時代のクロちゃんと向き合いながら、答え合わせをしているような感じがして、面白かったです。

 

──もう1つの“ほぼクロ”作品、「恋愛博士の異常な愛情」の感想もお願いします。

 

高橋:「恋愛博士の異常な愛情」は、最初読んだとき、本当にムカついちゃって(笑)! 「クロ、まさかこのテンションで4編行こうとしてないよね!?」という……。「キャバクラ」とか「実験体質」とか、もう本当に本人そのもので(笑)。

 

──2年半交際した恋人・リチさんとの破局が話題のクロちゃんですが、彼女にも“実験”していた!?

 

高橋:リチちゃんに対しても、実験しているような部分はあったかもしれないですね。「たとえば、このタイミングで、“会えない”って言ったら……?」とか、逆に「このタイミングで“会える”って言ったらどんな反応だろう」って駆け引きしなくていいところで駆け引きしたり。私からしてみれば、「いや、何をしてるの(笑)? 普通に会えばいいじゃん」っていう。とても変わってました(笑)。

 

私にも、たまに実験を仕掛けてくるんですよ。本当は都内にいるのに「仕事で地方なので会えません」って言ってみたり……。意味のない嘘をついて実験しているんです(笑)。

 

この間もクロちゃんとランチの約束をしていて、彼はすごく食べる人なので、「どうせランチまでの時間にも、たくさん食べたんでしょ!?」って聞いたら「食べてないよ」みたいな。結局、「じゃあ写真見せて!」って迫ったら、たくさん食べてる写真が出てきたり。あと、SNSに投稿している“朝昼兼用ご飯”の写真についても、「これ今日、もう食べたの?」って聞いたら、「これは4日前の写真」って答えたりとか。そういう謎の“小嘘”をつくんですよ。他人から見たら意味ないんですが、多分、クロちゃん的には何かを実験してるんですよね。

 

ただ、クロちゃんがよく言うのは「俺は別に誰も傷つけてない」「自分なりに楽しんでいるだけ」だと。まあ確かに、ご飯食べてないなんて嘘ついても、誰も傷つかないですからね。ただ恋愛となると、2人の問題になってくるので、恋人には実験しなくてもいいんじゃないかなと思います。

 

──クロちゃんとは“恋バナ”もしたりするんですか?

 

高橋:します! 私、年齢的にはリチちゃんの方が近いので彼女の気持ち寄りのアドバイスをしていました。たとえば、クロちゃんからは「(彼女が)あんまり思いをストレートに言ってくれないみたい」な話を聞いていて「今の子ってそうじゃない?」みたいな。「これやってほしい、あれやってほしいとか、こういうところに連れて行ってくれたら嬉しいとか、“自分の説明書”をそんなに自分で言わないでしょ」とか自分なりのアドバイスはさせてもらいました。クロちゃんからは「なんで俺の味方じゃないの!?」って言われましたけど(笑)。

 

──ちなみに、失恋のニュースを聞いたときは、どんな言葉をかけたんですか?

 

高橋:私がクロちゃんの失恋を知ったのは、視聴者の皆さんと一緒で、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のオンエアなんです。だから、知ったのは振られてからもう2か月ぐらい経った頃でした。

 

振られる回の1週前、『水ダウ』の「新春クロちゃんリアル人生すごろく」企画で「プロポーズしますか!?」という展開にはなっていたのでそのときには「絶対、振られるじゃん」と予想してしまって。まだクロちゃんが結果を秘密にしているときに会った際に「この人絶対振られてるのに平気な顔して私に会っている気がする」と思ったら、切なくなって泣いちゃったんですよ。

 

「たぶん振られていると思うけど、大変だね」って言ったら、クロちゃんは「それは言わないのが主義なので。いや、でもまだどうなってるかわかんないから、それは見てからのお楽しみです!」と。そう言われたから、「え!? うまくいった? 結婚しているのか?」と一瞬思ったんですが、結局振られていましたからね。“何、その強がり!”みたいなことは思いました。

 

──涙するほどとは!

 

高橋:リチちゃんとお付き合いしていたとき番組内で私に紹介してくれたことがあって。そのときも嬉しくて泣いてしまったんです。クロちゃんは「俺は恋多き男だ」というようなことを言っているのですが、私的にはそんなに恋多き男には思えなくて。「大学生のときに初めて彼女ができた」とか、「こういう彼女がいたんだ」っていう過去の話は聞いたことがあるんですが、この10年間はたぶんリチだけだったから。だからクロちゃん的には大恋愛だったと思います。その中でしたためた『クロ恋。』だと思うと、なんかじわっときますね。

 

 

(後編へつづく)