皆さん、「詠み鉄」ってご存じですか? 「撮り鉄」「乗り鉄」など、鉄っちゃんの間で細分化されているヲタク文化のひとつに、「詠み鉄」があります。同一路線(乗り換えなしが基本)で連なる3駅の駅名が、五・七・五になっているものを見つけて一句詠むというもの。
『アメトーーク!』(テレ朝系)の「鉄道ファンクラブ」や『笑神様は突然に…』(日テレ系)の鉄道BIG4でもおなじみ、鉄道大好き芸人のダーリンハニー吉川正洋氏が提唱している新たな鉄道の楽しみ方です。
本書は吉川氏が発見した「五七五」の“句間”を紹介しつつ、駅スタンプ帖としても活用できる1冊。今回は特別に冒頭部分とJR大和路線の“句間”の解説を公開します。
津久井浜 三浦海岸 三崎口
えー! 京急のここ五七五で並んでるじゃーん! しかも最後、終点じゃーん! こういうところは全国にあるのー?
ここから私の駅名川柳探しの旅が始まりました。時刻表でコツコツ探し、実際に行ってその「句間」を味わいました。旅の最中に偶然見つけた一句もあります。そのときにはいつも「えー! ここ五七五で並んでるじゃーん!」とまた心の中で叫んでいました。
詠んでいくうちに、響きと、個性と、詠み順があることに気づきました。駅名川柳は駅を勝手に作れないので、創作ができません。五七五並びの駅を探すことで八割方の作業が終わっています。ただ、終わりと始まりを決めるのは自由。基本的にどちらからも詠むことができるので、その方向を考えるのがとても楽しいのです。
この本には私のお気に入りの駅名川柳がたくさん並んでいます。解説もこれでもかと並んでいますが、まずは奇跡の並びを五感で味わっていただけたら幸いです。よかったら、声に出して詠んでみてくださいね(周りに人がいないことをご確認ください)。

JR大和路線
郡山(こおりやま) 大和小泉(やまとこいずみ) 法隆寺(ほうりゅうじ)

この句は奈良方面から詠んでるので、奈良から大阪の天王寺の方に向かう感じなんですけども、やはり大和の国の方角から詠んで、最後を法隆寺でビシッと締めたほうが、歴史的にも響き的にもいいと思いました。
郡山は金魚で有名なところで、全国金魚すくい選手権大会の開催地でもあります。だから駅に金魚のオブジェがあります。大和小泉駅も旧国名が入っていていいですね。郡山と聞くと福島県の郡山を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、「大和」が途中に入るので「そうか、奈良か」となる効果があるわけです。下句の七七まで足を延ばして、河内堅上駅まで行きますと、あたりの様子がローカル線っぽくなります。王寺駅とか法隆寺駅とかは住宅が多いのですが、河内堅上駅だけなんだかオアシス感がありまして、急に山深くなるんですよ。ここだけ時間の流れが違う感じがします。周辺も結構大自然で、乗っててトンネルが急に出てきたり。単調じゃないんですよね。有名なお寺があり山があり市街地があり。詠みも完璧。そういうわけでこの句は、まさに関西圏を代表する一句でしょう。
詠み鉄の世界、いかがでしたでしょうか? ダーリンハニー吉川氏も発見できていない“句間”を見つけた際にはぜひお知らせください。鉄の細道へようこそ!
【内容紹介】
駅名が偶然五・七・五で隣り合っている「句間」を探し出し、一句詠むという和と鉄の融合。「津久井浜/三浦海岸/三崎口」(京急)など名句が満載。日本全国に多数ある駅名川柳を解説付きでご紹介。後半のスタンプ帖部分に駅スタンプを押せば、あなたの鉄旅の最高の記念になります!