ホラーの名手にして“エロスの女王”でもある作家・岩井志麻子と『毎日かあさん』『ダーリンは79歳』シリーズで知られる人気漫画家・西原理恵子。ともに還暦、30年来の親友の二人が、初めてタッグを組むこととなった『サイバラ志麻子 悪友交換日記』。

〈同い年で大親友という間柄であるが、理恵子ちゃんと出会ったのは互いに荒波にモミモミされ、酸いも甘いもイカ臭いも嚙み締めた熟女になってからだ。だけど、いや、だからこそ大親友になれたのだと思う。〉(本作「おわりに」より)

 そんな悪友二人の「文」と「絵」による交換日記の一部を特別公開!

 

【第4発目】エロへの探求心

 私は前回の東京オリンピックの年生まれなので、江戸時代なら寿命でとっくに死んでいる年頃なんですが、それでも日々「今初めて知った」という新たな驚きと学びがあります。
 私の場合、だいたいがエロ関連の場においてなんですけどね。
「真珠入れたチン×は臭くないけど、ピアス入れたチン×は臭い」
 先日も、あるゲイ男性にこんな話を聞かされました。
「シリコンやプラスチックの方がまだ、肌に馴染むのよ~。皮膚に埋め込まれ、潜り込んでるし。
 でもピアスは、皮膚の上に露出してるでしょ。金属は汗や分泌物と混じって空気に触れると、肌との間で悪い化学反応を起こすんだわ」
 なるほどなぁと感心もしましたが、私は世間からスケベなオバサンと思われている割に経験が乏しいというか、真珠入りのチン×もピアス入りのチン×も知らないな、と改めて気づいたのです。
 死ぬまでに一度はどちらも試したい、と切望しました。
「本当にシリコン入りは無臭で、ピアスつけてると臭いのか」
 というのを、確かめたくてならないのです。エロいことをしたいのではなく、新しいことを学びたい。
 といっても、なかなか真意は伝わらないでしょうね。
 しかしそのゲイ男性は、聞き捨てならんこともいいました。
 お尻の穴を使わないゲイさんもいることはすでに知っておりましたが、やっぱり多くのその道に生きる方々は使用するわけですよね。
「ホテルに入ったら、まずシャワーのヘッドが取れるか確認よ。尻の穴に入れて、洗浄するためにね」
 これは正直、聞かなきゃよかった、知らない方が幸せだったと後悔しました。清掃係がきちんと掃除をするといっても、ヘッドをいちいち外して消毒はしないでしょう。
 ということは、見知らぬ誰かの尻の穴に入れたシャワーで、私は顔や体を洗っていたのね。
 そんなこといってたらホテルだけでなく、公衆トイレの便器もレストランの食器も、見知らぬ誰かが使っていた、となりますが。便座や皿は、尻の穴には入れません。
 けれど彼は、開き直るのです。
「尻に入れて中身を吸引してたら不潔だけど、あくまでも水を放出しているだけなんだから、使うたびに洗浄されてて清潔なのよっ」

 

 

長いつきあいなのに一緒の仕事がなかったワケ

 身のまわりで起きるエロ事件をつづった、岩井志麻子による渾身の赤裸々エッセイに、西原理恵子がナナメ上を行く不適切イラストで応戦した本作。2人の破天荒な日常に時折、挟まれるぶっとんだ友情エピソードが魅力だ。

 特別収録された「サイバラ×志麻子の爆笑対談」では、長いつきあいながら、今作が初めての共著となった意外な理由も明かされている。

「お友だちになって、大体30年くらいかな。でも、実は私ら長いつきあいなんだけど、一緒の連載仕事って初めてなのよね」(岩井)

「だって二人で会ったら、いつも放送禁止用語だらけの話しかしてないもん。普通、そんなの文字にして連載できないよ」(西原)

「いやいや、こういうとてつもない下品なエロ話はどこかに需要があると思うわよ」(岩井)

 読めばスッキリ、大爆笑! 下品で下品を洗う初めての共同作業、ぜひその目で確かめてほしい。