1930年代のヨーロッパ。ある地方で起きた飢饉の発生により、富農の少女モモは故郷を出て都市に向かう。しかし経済の疲弊は激しく、住民は「相互監視」を強め、政府の政策に翻弄される。荒廃した国で、モモはいかに生きていったのか。第37回小説推理新人賞、第5回アガサ・クリスティ―賞の新人賞ダブル受賞の俊英が描く、人間の陰と光。