これは鮮やかだ!

 学園ミステリを構成する数々の青春の痛みときらめきがどちらもたっぷりで、さらに思わぬ方向からの真相と後でわかる細やかな伏線。読み始めたときの予想をはるかに超えた場所に着地してくれた。

 卒業式を三日後に控えた私立欅台高校で、生徒からの人気の高い女性英語教師・水口が誘拐される。監禁の様子を撮影した動画とともに72時間後に始末するという予告がネットにアップされ、校内は騒然となる。

 そんな時、三年生の黒川良樹は自宅に奇妙な郵便が届いていることに気がついた。そこには四人の生徒への呼び出しと「誘拐の謎を解け/真相は君たちにしかわからない」という文言が。集められたのは爽やかな体育会系男子、学年一の美女、学年トップを争う秀才女子、そして教師の手を焼かせた不良の良樹。なぜこの四人が? そして四人は犯人が学校関係者であると推理するが……。

 というのが本書の導入部だ。四人は水口の周囲を調べたり、信頼できる教師に頼んで警察の情報をもらったり、水口と確執のあった教師を洗い出したり。と、ここまでならまだ普通。もちろん謎はそこで終わらない。本書最大の謎は「なぜこの四人なのか」だ。

 どうもこの四人がそれぞれワケありっぽいのである。欅台高校には教育熱心な理事長の方針で、お題に沿って自分の考えや体験、悩みを書いて提出する「告白カード」と呼ばれるシステムがある。卒業前の三年生に与えられたお題は「高校生活で悔しかったこと」。匿名で挿入される複数の「告白カード」がポイントだ。そこにはそれぞれ特定の教師とのエピソードが綴られていて、内容から見るにどうもこの四人の……。

 いやいや、明かすのはここまでにしておこう。ありていに言えば、真犯人が誰かという点については、予想できる読者もいるだろう。だが本書の核はその先にある。そしてその「先」が明かされたとき初めて、この物語に仕掛けられた真のトラップが浮かび上がるのである。

 解かれるべきはそこだったのか、とのけぞった。読みながら「ははん、見当ついたぞ」とほくそ笑んだ自分が恥ずかしい。しかもこの四人組がすばらしく魅力的で、彼らをいつまでも見ていたいような気持ちになる。青春ミステリとして文句なし! その後の彼らが再び一堂に集う続編を今から期待している。