午後二時。甘い香りが漂う十坪の厨房に、クラシックピアノが奏でるリストの「ため息」が流れていた。
 クラシック音楽など一ミリの興味も知識もなかった譲二だが、「ちょこれーと屋さん」で働くようになってから詳しくなった。
 サブスクリプション方式、通称サブスクでダウンロードしたクラシック音楽……リストやショパンのピアノ曲をスマートフォンで流しながら仕込みをするのが直美流だ。
 譲二は直美の隣でステンレス製の調理台に向かい、ガナッシュを二十センチ四方のバットから外した。
 ショコラセパレーターというガナッシュを真上からカットする専用ナイフを使い、二センチ×二センチの一口サイズに切り分けてゆく。
 
「ショコラっていうのはよ、生き物だ。美しい曲を聴かせて愛情込めて作りゃ、艶々で最高の口どけの子供ができるっつうもんだ」
 
 仕込みの際に音楽を流す理由を初めて直美から聞いたときには冗談かと思ったが、彼は至って真剣だった。
 星咲直美は凶暴と獰猛の間から生まれたような男だが、チョコレート作りのときだけは優雅で繊細な男に変身する。
「ゆっくり……ゆっくりでいいからな~。そうそうそう、抱擁するように、ゆ~っくり溶け合うんだよ~」
 テンパリング中の直美が、温度計付きのゴムへラを持つ丸太並みの右腕を優雅に回しながら、湯煎したボウルの中のチョコレートに優しく話しかけていた。
 テンパリングとは、チョコレートの調温作業のことだ。
 チョコレートは厳密な温度管理と工程管理のもとで作らなければ、艶が損なわれ、白っぽく斑点模様が浮き、ビジュアルも口どけも悪くなる。
 チョコレートに含まれる油脂を分解し、安定した細かい粒子にして融点を同じにすることで、光沢のある風味も口どけもいいチョコレートが完成するのだ。
 具体的には、一旦、チョコレートを五十度前後の温度で溶解させ、二十七度から二十九度まで下げ、再度三十一度から三十二度まで上げることで結晶を整え安定させる。
 テンパリング作業のときは室温を十五度前後に保ち、水や水蒸気に十分に気をつけなければならない。
 温度と湿度はチョコレートの天敵だ。
 温度と湿度が高過ぎても低過ぎてもいけないし、エアコン、換気扇、加湿器の近くでの作業もだめだ。
 
「テンパリングはよ、女の扱いと同じだ。時間をかけるほどに艶が出て、どんどん美しくなる。愛撫をおざなりに挿入しようとしても、濡れてねえからうまくいかねえだろ? 根気よく、愛情を持ってテンパリングしてやれば、とろっとろの滑らかな口当たりの最上級のチョコレートが出来上がるっつうわけだ」
 
 脳裏に、直美の声が蘇った。
「ねえ、直さん、あんなに楽しみにしていたのに、どうして代官山のショコラ専門店を回らなかったんですか?」
 譲二は、切り分けたガナッシュを大きめのバットに二、三センチの間隔を空けて並べながら訊ねた。
 午前中に代官山で職務質問してきた警官と揉めたあと、直美は予定を変更して歌舞伎町に戻ってきたのだった。
 今日はもともと定休日だったので、視察に出かけることにしていた。
 翌日の仕込みなら、代官山のショコラ専門店を回ってからでも遅くはなかった。
「お前が土下座なんかして、俺の愉しみを奪うからだろうが。感情が昂っている状態の味覚は信用できねえ。好きな女と初デートのときに舞い上がった状態で食う飯の味なんて、ほとんど覚えてねえだろうが。それと同じようなもんだ。ショコラを食したり作ったりするときにはよ、一点の曇りもない澄んだ心の状態じゃねえとな」
 直美が、湯煎から外したボウルを素早く冷水につけゴムへラで混ぜながら温度計を凝視した。
 三十度を切ったら、ふたたび湯煎して三十一度から三十二度まで上昇させつつ混ぜなければならない。
「なるほど、そういうことだったんですね」
 譲二は冷蔵庫からストロベリーフレーバーのガナッシュのバットを取り出し、さっきと同じようにショコラセパレーターを使い、二センチ×二センチの一口サイズにカットした。
 冷蔵庫にはほかに、マンゴー、コーヒー、オレンジ、ラズベリーのフレーバーやラム酒のガナッシュが保存されていた。
 これらのガナッシュはすべて、昨日のうちに直美が仕込んだものだ。
 フレーバーガナッシュの作りかたは、各種フレーバーパウダーをチョコレートに溶かし込み、あとはノーマルガナッシュと同じ手順で生クリームと混ぜ合わせるだけだ。
 フレーバーパウダーの量は、チョコレートの十パーセントを目安としていた。
 アルコール系では、オレンジリキュールのグラン・マルニエやコアントロー、ラム酒のドーバーラム45をチョコレートに流し込んだガナッシュがあった。
 いまはどこのショコラ専門店もバラエティー溢れるガナッシュを揃えているので、直美は営業が終了する二十二時以降に新作ガナッシュの開発に励んでいた。
 とくに他店が扱っていないような斬新なガナッシュ作りに力を入れ、これまでに納豆ガナッシュ、鮪ガナッシュ、キムチガナッシュなどに挑んだがすべて没になった。
 最近話題のワサビフレーバーや黒ゴマフレーバーを超えるガナッシュを開発したいという気持ちはわかるが、さすがに納豆や鮪はチョコレートとの相性が最悪だ。
 譲二も作ることはできるが、直美はチョコレート作りを絶対に人任せにしない。
 ガナッシュをカットするのも、「ちょこれーと屋さん」で働き始めて五年目でようやくやらせて貰えるようになったのだ。
 ガナッシュは冷蔵庫に保存すれば腐りやすいものでも四、五日までは大丈夫だが、味のクォリティを微塵も落としたくないという直美の拘りで、二日過ぎて売れ残ったらスタッフが食べることになっていた。
 しかし、持ち帰って人にあげるのは禁止されていた。
 理由は、貰った人が雑な保存をして品質が著しく劣化した状態で食べ、これが「ちょこれーと屋さん」のガナッシュか? と思われないためだ。
 
「客はなんでもかんでも冷蔵庫に入れときゃいいと思う奴と、ガナッシュを市販の板チョコと同じに考えて出しっぱにしやがる奴に分かれる。ショコラ四ヵ条を教えてやるから、守れそうにもねえ奴には絶対に売るんじゃねえぞ」
 譲二が「ちょこれーと屋さん」に入店した初日の開店前に、直美が熱っぽく語り出した。
「一つ! ショコラは買った当日、無理でも二日以内で食うべし! ショコラは生ものだ。鮮度が落ちると風味が劣化するからな。一つ! 真冬で十度以下の環境なら日陰で湿気のない場所で常温保存、それ以外は冷蔵庫の野菜室で保存するべし! 説明するまでもねえが、ガナッシュにゃ生クリームが入ってるから、下手すりゃ食中毒を起こす。野菜室に保存するのは、普通の冷蔵室より高めに温度設定してあるから品質を維持できるのが理由だ。一つ! 箱を開けたらアルミで巻いて『ジップロック』で保存するべし! カカオは光と湿気を嫌い、ほかの食材の臭いを吸収する性質がある。アルミで光を、『ジップロック』で湿気と臭いを遮断するのが狙いだ。一つ! 冷蔵庫から出したらすぐに食べずに、十五度から二十度の常温で二十分前後出しっぱにしたのちに食うべし! 冷蔵庫から出したばかりのときは、カカオの油脂も生クリームも固まって味も食感も劣化しているからよ、口に入れた瞬間に溶け出すショコラと生クリームの繊細な味のデュエットを体験してほしいじゃねえか。俺にとっちゃボンボンショコラは、愛する女であり子供みてえなもんだ。大事な女子供が他人の家でひでえ扱いを受けたら許せねえだろう?」
 あのとき、譲二は直美のチョコレートにたいしての深い愛情を知った。
 それまでは、ヤクザに飽きて適当な流行に乗って始めた仕事だと思っていた。
 なぜチョコレート専門店にそこまで愛情を注げるのかが、不思議でならなかった。
「東神会」で圧倒的な権力を誇り目の眩むような大金を手にしていた直美が、単にチョコレート好きという理由だけですべてを捨てるとは思えなかった。
 
「あの万年平巡査のおっさんが邪魔しなけりゃ、無実の俺に恥をかかせた罰として素人童貞野郎の制服を引っ剥がしてやったのによ。万年平巡査のおっさんは、どうして急に止めに入ったんだろうな」
 直美がゴムへラで掬ったガナッシュの色艶をチェックしながら、思い出したように言った。
「新宿署に問い合わせて、直さんが歌舞伎町の治安維持に貢献していることや本当にチョコレート専門店を経営していることを聞かされたんでしょう」
 譲二は、下呂の名前を出さなかった……出せなかった。
 七万円の袖の下を渡す代わりに譲二が助けてくれるように懇願したなどと知られてしまえば、大変なことになる。
 自分に手を出すことはしないだろうが、下呂が血祭りにあげられるのは間違いない。
 下呂の身を案じているわけではない。
 むしろ、あんな下種な男はひどい目にあったほうがいい。
 危惧しているのは、直美のことだ。
 いくら直美が新宿署にVIP待遇されているとはいえ、これまでのように感情の赴くままに暴れていたらいつかは逆襲されてしまう。
 とくに下呂のような狡猾な男は、直美に利用価値がないと判断したらあっさりと裏切るだろう。
 直美を快く思っていないアンダーグラウンドの住人を焚きつけて、なにを仕掛けてくるかわからない。
 ヤクザ稼業から足を洗い五年経っているとはいえ、「東神会」で数えきれない修羅の伝説を残した特攻隊長の威光は衰えていない。
 とはいえ、堅気になったいまでも歌舞伎町に睨みを利かせている直美に不満を抱いているヤクザがいるのも事実だ。
 譲二は、最初に直美からショコラティエに転身すると聞かされたときは驚きとショックに動転したが、いまではよかったと思っていた。
「まあ、次に会ったときは素っ裸にして代官山の街を引き摺り回してやるぜ。モールドを用意しろ」
 直美は遠足を心待ちにする少年のように声を弾ませると、譲二に命じた。
「直さん、腐っても相手は警察ですから、そこそこにしといたほうがいいですよ」
 譲二は進言しながらチョコレートモールド――型を調理台に並べた。
「心配はいらねえ。俺が成敗するのは腐臭漂うマッポだけだ。真面目なマッポにゃ手を出さねえよ」 
 荒々しい言葉遣いとは対照的に繊細な手つきで、直美はテンパリングを終えたばかりの艶々のチョコレートをスプーンで掬いモールドに流し込んだ。
 直美はチョコレートの入ったボウルを譲二に渡し、空のバットの上でモールドを逆さにした。
 こうすることで余分なチョコレートを落とし、ガナッシュを詰めるセンタースペースを確保するのだ。
「前から訊きたかったことがあるんですけど……いいですか?」
 ケーキトングで摘まんだガナッシュをチョコレートのセンターに詰める直美に、譲二は伺いを立てた。
「その前に、ガナッシュをインするときにはよ、たまに指で摘まむバカラティエがいるが、体温で品質が落ちるから絶対にトングを使えよ。で、なんだっけ?」
 直美が、思い出したように譲二を促した。
「あ、やっぱりいいです。たいしたことじゃないですから」
 譲二は言った。
 チョコレート作りにこれだけ情熱を燃やす直美に、いまさらする質問ではないと思い直したのだ。
「言いかけてやめるんじゃねえよ。言ってみろ」
「じゃあ訊きますけど、直さんはどうしてヤクザをやめてショコラティエになったんですか?」
「おかしいか?」
 ガナッシュを詰め終わった直美が、譲二の手からボウルを奪い訊ね返した。
「いや、おかしくはないですけど、『東神会』で凄い地位を築いていたのに、いきなりやめた理由がわからなくて……」
「この店は、もともとウチの親父とお袋の店だった」
 唐突に直美が言った。
「えっ? 直さんのお父さんとお母さんの店? どういうことですか?」
「俺が生まれたときにゃ、親父とお袋はケーキ屋だった。ガキの頃から、苺のショートケーキやモンブランやチーズケーキに囲まれて育ってきた。仕込みのときに余った生クリームやチョコレートを親父から貰うのが、毎日の楽しみだった。俺にとっちゃ、スイーツは幸せな家族の象徴だ。将来、父ちゃんと母ちゃんがケーキ屋さん、直美がチョコレート屋さんを隣同士でやるのが夢だ。客も被らないから、喧嘩にもならないだろ? っつうのが、親父の口癖だった」
 直美はセンターに詰めたガナッシュにチョコレートで蓋をしながら、淡々と生い立ちを語った。
 譲二は驚いた。直美の口から家族のことを聞いたのは初めてだった。
「まあ、俺もケーキ作りを手伝ったりしているうちに、すっかりその気になってな。小学校の作文で、将来の夢はチョコレート屋さんになることって書いたもんだ」
 猛獣の姿しか知らない譲二には、直美の子供時代の想像がつかなかった。
「だがよ、ガキの頃の夢っつうのはたいてい叶わねえもんだ。俺が小学校を卒業するあたりから、店にガラの悪い男たちが出入りするようになった。男たちは毎日のように店にきて、親父に札束の入った紙袋を渡そうとした。親父はそのたびに札束を突き返していた。
 ガキの俺には、不思議だったぜ。どうして金を貰わねえんだろうって。次、ストロベリー持ってこい」
 直美に命じられた譲二は、ストロベリーフレーバーのガナッシュのバットを調理台に置いた。
 人気のあるガナッシュは、当然、仕込みの量も多くなる。
 因みに「ちょこれーと屋さん」の現在の売れ筋トップスリーは、ノーマルガナッシュ、ストロベリーフレーバーガナッシュ、プラリネとなっている。
「ガラの悪い男たちは、『大山会』の連中だった。当時、『大山会』は親父のケーキ屋の場所にキャバクラをオープンさせたかったみたいでよ。それで、札束で横っ面引っぱたいて追い払おうとしていたってわけだ」
 直美は無表情に語りつつ、改めて湯煎したチョコレートをさっきと同じようにスプーンでモールドに流し込んだ。
 味に悪影響が出ないように、感情をコントロールしているのだろう。
 譲二の知るかぎり、直美の理性が働くのはチョコレート作りのときだけだ。
「だがよ、親父は筋が違っていることにゃテコでも動かない頑固な男だった。相手がヤクザだろうが大金を詰まれようが、親父が首を縦に振ることはなかった。痺れを切らしたヤクザどもは、開店から大勢で押しかけケーキを一個注文しただけで閉店まで居座り続けた。ほかの客は怖がって寄りつかねえようになり、店は赤字続きになった。警察に相談しても、ケーキを注文して暴れてもいないから罪には問えねえと相手にしてくれなかった。あとからわかったことだが、新宿署のマル暴は『大山会』とズブズブの関係だったらしい。幸いなことに親父にゃ貯金があったから、売り上げがなくても家族に飯を食わせることはできた」
 直美のスプーンを持つ手が、宙で止った。
 まるで静止画像のように、直美が動かなくなった。
「直さん……」
 金属音が鳴り響き、直美の手の中で真っ二つになったスプーンが床に落ちた。
「ある晩、暑くて目が覚めたら炎の中で宙に浮いててよ。窓から外に放り投げられた俺が見たのは、燃え盛る炎に呑み込まれる親父とお袋だった」
 押し殺した声で言うと、直美は新しいスプーンを手に取り作業を再開した。
「え……」
 譲二は絶句した。
「結論から言うとよ、業を煮やした『大山会』が親父とお袋を焼き殺したってわけだ。まあ、警察は失火で処理しちまったけどな」
 直美はスプーンからケーキトングに持ち替えると、何事もなかったようにストロベリーフレーバーのガナッシュをチョコレートのセンターに詰め始めた。 
「それで……直さんはどうしたんですか?」
 恐る恐る、譲二は訊ねた。
「出刃包丁と木刀を持って、『大山会』の事務所に乗り込んだ」 
「え!? でも、そのころはまだ……」
「ああ、中学生になったばかりだ」
「中学一年で、一人でヤクザの事務所に乗り込んだんですか!?」
 譲二は素頓狂な声をあげた。
 やはり直美は、少年の頃から猛獣だ。
「あたりめえだろ! 親の仇を全員ぶっ殺して、俺も死ぬつもりだった。だがよ、計画は未遂に終わっちまった。たまたま『大山会』の事務所の近くに停まっていたベンツから降りてきた男が、物凄い形相で包丁と木刀を握りしめて歩いてた俺を止めてよ。そいつも一緒にぶった斬ってやろうかと思った。男の、あの一言がなけりゃな」
「あの一言?」
「ああ。ここにいる全員を殺しても、組長は留守だ。なんの恨みか知らねえが、『大山会』を潰してえなら組長がいるときにしろってな。固まったら食え」
 詰め終えたガナッシュにチョコレートで蓋をした直美は、譲二にモールドを差し出した。
「え? 俺が食うんですか?」
「その男が野崎さんだった」
 直美は、譲二の問いかけに答えずに話を続けた。
「元若頭かしらの野崎さんですか?」
 モールドを受け取りつつ訊ねる譲二に、直美が頷いた。
 野崎の言うことだけは、唯一、直美は素直に聞き入れていた。
「場所を移して『大山会』に乗り込んだ事情を話したら、若頭かしらは天涯孤独になった俺を引き取ってくれた。今日からお前は俺の弟分だ。中学卒業するまで修業して、『東神会』に入れ。お前が一端の極道になったときに、俺が一緒に『大山会』を潰してやる……ってな」
「だから、ショコラ専門店をやる前に『東神会』に入ったんですね。じゃあ、やめたのは……」
「おう。そういうこっちゃ。俺は、『大山会』をぶっ潰すためにヤクザになった。目的を果たしたら、もう、ヤクザをやってる意味もねえしな」
 直美が、あっけらかんと言った。
 すべてに、辻褄が合った。
 譲二が学生時代に、歌舞伎町を縄張りにしていた「大山会」が抗争の末に「東神会」に吸収されたという話はニュースで知っていたが、野崎と直美が中心となっていたのは初耳だった。
 直美が歌舞伎町をパトロールして悪党を取り締まるのも、第二の「大山会」を生み出さないために違いなかった。
「俺はちょっくらパトロールしてくるから、適当に帰っていいぞ」
 直美がエプロンを外し、厨房の出口に向かった。
「直さん、作ったばかりのショコラをどうして俺に食わせるんですか?」
「言っただろうが。感情が昂ってるときに作ったショコラなんて、客に出せねえって。お前が昂らせたんだから、責任を取れや」
 振り向かずに言うと、直美は厨房をあとにした。
 呆気に取られ立ち尽くす譲二の鼻腔に、モールドのボンボンショコラから立ち上る甘酸っぱいイチゴの匂いが広がった。

(第5回へつづく)